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作成日:2010年5月6日_記事番号:T00022552
翡翠ダム水源地域に土葬墓地、汚染の恐れも

台北県石碇郷にある翡翠水庫は、大台北地区(台北県市、基隆市)に住む約400万人に飲料水を供給する水がめのダムだ。ところが、この翡翠水庫近くに位置する共同墓地「台北花園公墓」で、違法とされている土葬が長年にわたり行われていたことが発覚した。
浙江同郷会によって1984年に設立された台北花園公墓は、総面積約32ヘクタール。周辺は日の出や雲海を撮影するベストスポットとしても人気がある風光明媚な環境で、台湾高速鉄路(高鉄)の殷琪・前董事長の父、殷之浩氏をはじめとする浙江省出身者が多く埋葬されている。
台北花園公墓は、翡翠水庫が同年に水源特定区に指定されたため、規定により納骨堂しか設置できないはず。ところが実際には、土葬許可証を得た400体以上の遺体が土葬されている。雨が降れば、高台に位置する墓地に浸み込んだ雨水が、わずか数百メートル先のダムへ流れ込むことになり、水源汚染が懸念されている。
一体、なぜこのような違法行為がまかり通ってきたのだろうか?石碇郷公所民政課の担当者によると、台北花園公墓に対して土葬許可証を発行したのは「慣例に倣って」で、法に触れるとは全く知らなかったという。
民政課では09年8月以降は土葬許可証を発行していないとはいうものの、84年から09年までの26年間に発行した許可証は400枚以上にも上ることから、役所の上層部が関与している可能性も高いとみられている。
なお、台北花園公墓が95年に建設した納骨堂は、建築物の使用許可が取得できず廃墟に。その後、09年4月から「南海宝座創造公司」が納骨堂の管理と販売を再開している。納骨堂の永久使用権は1戸当たり3万台湾元で、約1年間で5万戸を販売する人気だったという。
それにしても、台北花園公墓が県政府から「成績優良」の評価を獲得しているとは、何とも皮肉
な話。既に土葬されている遺体は今後、別の場所に移されることになるのだろうか?