富邦金融控股が5日、合弁証券会社の設立など福建省での金融サービス拡大に関する5項目の覚書を締結した。同社はアモイ銀行に約20%の出資を行っているほか、7月にアモイ市で損保子会社を立ち上げる予定で、台湾大手金融グループとして初めて、福建省で銀行・保険・証券の主要3業務の展開を目指す。6日付経済日報などが報じた。
5日は黄小晶・福建省長が訪台し、富邦金は同行した同省金融グループなどとの間で覚書を結んだ。福建省投資開発集団とは、証券会社「海峡証券公司」、投資ファンド運用会社「海峡産業投資基金管理公司」を合弁で設立することで合意した。
富邦金は富邦証券を通じて海峡証券に、中国当局の外資証券に対する33%の出資上限規制の枠内で出資を行うとみられる。関係者によると、福建省は中国全土に先駆けて台湾との具体的な経済交流案を試行する役割を与えられた海峡西岸経済区(海西特区)の中心で、海峡証券は、現段階では外資出資の証券会社に認められていないA株仲介業務の認可獲得に動くとみられる。
このほか、富邦産物保険と富邦人寿保険が、アモイ銀行およびアモイ港務控股集団と提携覚書を結んだ。富邦産険と富邦人寿による損保子会社「富邦財産保険」が、アモイ銀と個人および企業向けの保険業務で協力する。また、廈門港務控股集団とは合弁で保険ブローカーを設立して関連業務に当たるとともに、海上保険関連業務の取り扱いも目指す。
台北富邦銀行もアモイ銀と送金サービス業務での協力に関する覚書を取り交わした。富邦金によると両行は既に当日着の直接送金サービスを手掛けている。アモイ銀は現在中国国内での外貨支払いシステムを構築中で、整備後は、台湾の台北富邦銀から中国各地に迅速な送金が可能になるとしている。
永豊金、アモイ進出へ
台湾金融機関では、永豊金融控股も5日、海外孫会社の永豊亜洲資産管理公司が行政院金融監督管理委員会(金管会)にアモイ事務所の設立を申請したこと明らかにした。認可されれば同グループ初の海西特区進出となる。
福建興業銀、台湾進出を申請
黄福建省長に同行して訪台した福建興業銀行の高建平董事長は5日、台湾事務所の設立を既に中国銀行業監督管理委員会(銀監会)に申請したことを明らかにした。認可されれば、中国の地方銀行による台湾進出第1号となる。
福建興業銀は1988年福州市で創業。資産総額1兆3,322億人民元(約18兆3,000億円)で、中国銀行業界の上位10行、世界でも200行以内にランクインしている。
福建省は台湾との金融交流を緊密に進める方針を掲げており、今後、双方の金融機関の進出拡大が見込まれる。
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