半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光半導体(ASE)、矽品精密工業(SPIL)、力成科技(パワーテック・テクノロジー)およびシンガポールのUTACによる2010年設備投資計画は合計450億台湾元(約1,300億円)を上回り、業界が今年から来年にかけての市場を好感していることがうかがえる。半導体景気の回復で封止・検査需給は逼迫(ひっぱく)しており、ASEが買収を検討する欧州EEMSのシンガポール工場と蘇州工場にUTACも狙いを定めるなど、各社とも生産能力獲得に躍起だ。10日付経済日報などが報じた。
李永松UTAC董事長は、半導体景気の回復とASAT東莞工場買収効果で、今年の売上高は前年比66%増の10億米ドルを達成すると強気の見方だ(中央社)
ASEの10年設備投資計画は、台湾業界最高の4億5,000万~5億米ドルで、さらなる上方修正の可能性もある。SPILは4億5,000万米ドル、パワーテックは3億米ドルだ。UTACは9日、同2億米ドルと、昨年の約7,000万米ドルの2.85倍、06年の3億5,000万米ドルに次ぐ過去2番目に高い水準を示した。
UTACの李永松董事長は、今年の半導体業界は、パソコン関連向けのみならず、スマートフォンなど通信関連向けの大幅な伸びにより、生産能力が不足するとの予測を示した。また、金融危機を経て業界全体で淘汰(とうた)、合併が進む中、財政状況が安定しており、現金を持つ企業が半導体景気回復の波に乗ってシェアを拡大できると強調し、合併・買収を行う可能性を示した。
業界関係者は、ASEとUTACはともに企業買収の実績が豊富なことから、どちらがEEMSの2工場を手に入れるかは予測できないとみている。また、ハイシーズンの下半期を目前に、買収は最も手早く生産能力を増強する方法だと強調した。
ASEが過去に買収したのは、▽米最大手のISE Labs▽モトローラの桃園県中レキ工場(レキは土へんに歴)、韓国・坡州工場▽NECの山形工場▽上海の威宇科技▽山東省の威海愛一和一電子──など。一方、UTACも今年2月に米ASAT広東省東莞工場の買収手続を終えるなど、この10年で4社・工場を買収して売上高で業界世界5位に躍進している。
ASE、4月は減収
なお、ASEが7日発表した4月連結売上高は146億6,300万元で、前年同月比で139.76%増加したものの、前月比では7.47%減少した。ファウンドリーの生産能力不足が出荷に影響したためで、同社は5~6月は通常通り出荷できるとの見通しを示した。
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