東元電機(TECO)は22日、歌林(コリン)と米液晶テレビメーカーのシンタックス・ブリリアンとの提携に加わり、歌林とともにシンタックス・ブリリアンの液晶テレビブランド、「オレビア(OLEVIA)」「ビビター(VIVITAR)」の北米市場などでの展開に力を入れると発表した。複数の台湾家電メーカーが同時に同じ外国企業に出資するのは初のケースで、23日付工商時報によると、提携を足掛かりに将来的に両社の家電部門の合併へと道を開く可能性がある。
東元はシンタックス・ブリリアンに2,000万米ドルを出資し、出資比率は3.26%となる。一方、4年前から合併前のシンタックスと提携していた歌林の出資比率は13%から7%に低下する。
東元によると、同社は重電事業では利益を上げているが、液晶テレビを含む家電部門は厳しい市場競争の下で赤字に陥っている。一方、歌林とシンタックス・ブリリアンの提携で北米市場で展開している「オレビア」は好調で、今年上半期の出荷台数は約60万台、iSuppliの調査でシェア6.4%、販売ランキングで7位になっている(ディスプレイサーチの調査では11位)。台湾メーカーは、瑞軒科技(アムトラン・テクノロジー)の液晶テレビ「Vizio」が、第2四半期北米市場でシェア1位を獲得したが(12.1%、ディスプレイサーチ)、それに次ぐ業績だ。
シンタックス・ブリリアンのジェームス・リーCOO(最高執行責任者)によると、東元と歌林は地域、サイズを分担して製品を供給する見通し。北米以外にも中南米、中国、ベトナムなどに展開し、「シャープやソニーなどの大手メーカーに対抗していく」と期待を語った。
当初は受け入れに拒否感
提携は東元自らが希望したもので、当初歌林は受け入れを渋っていた。しかし、東元が役員の派遣を行わない一方、歌林は出資比率は低下するものの役員1人の派遣を維持するため、東元に対して経営上の優位性を維持できると判断し受け入れに踏み切ったようだ。
東元資訊電子事業群の黄育仁執行長は、「今後は研究開発(R&D)、アフターサービス、調達リソースの統合などにも提携範囲を広げていきたい」と早くも協力関係を拡大させる考えを語っている。
工商時報は、「両社とも三菱電機と技術提携関係にあることが、合併が決まったもう一つの鍵」と報じている。液晶テレビを契機に、あらゆる家電製品で協力を進め、将来的には歌林主導で家電部門の合併が行われる可能性があり、「成功した場合、台湾で上位2位に入る家電メーカーとなり、松下電器やソニー、シャープなど日系大手に十分対抗できる」としている。