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ムスリム労働者に「豚肉食べなきゃ減給」、海外からも批判


ニュース 社会 作成日:2010年5月13日_記事番号:T00022700

ムスリム労働者に「豚肉食べなきゃ減給」、海外からも批判

 
 イスラム教徒(ムスリム)は、宗教上の戒律で豚肉を食べることを禁じられているのは周知の事実だ。ところが、台湾で働くムスリムのインドネシア人労働者が、雇用主から7カ月にわたり豚肉を食べるよう強要されていたことが分かった。

 この雇用主は、アパレルメーカー・信華行服装体育用品社のオーナー、張雯琳(48、女性)被告。同社は、フランスやイタリアなどの有名ブランドのスポーツウェアのOEMを手掛けている。

 張被告は08年9月、仲介業者を通じて看護人の名目で3人のインドネシア人女性を雇用。しかし実際には3人を台北県泰山郷の自社工場で、朝7時から夜12時まで1日17時間の過酷な労働に就かせていた。

 3人には休日もなく、月給はわずか1,370台湾元と、本来得るべき報酬の10分の1以下にすぎなかった。そのうえ、張被告から戒律上禁じられている豚肉を食べるよう強いられ、「食べなければ、100~500元減給する」と脅されたため、3人は涙を流しながら豚肉を口にしたという。張被告は「豚肉を食べると力が出るから」と、彼女らの信仰には全く無頓着だった。

 このような虐待に耐えかねた3人は、工場内の台湾人労働者の助けを借り、台北県政府労工局に助けを求める手紙を出したのが、09年2月13日のことだった。パスポートや携帯電話などを取り上げられ軟禁状態に置かれていた3人は、4月9日やっと警察に救出され、7カ月に及ぶ地獄から抜け出すことができた。現在は別の雇用主の元で働いているという。

 なお、板橋地検は「外国人労働者の信仰を尊重せず、人権を無視した」として、張被告を強要罪で起訴。8カ月を求刑した。

 この事件はAP通信やAFP通信社、BBCなどの海外大手メディアをはじめ、インドネシアやフィリピン、シンガポールなどでも大きく報じられた。特にインドネシア政府は、自国労働者の権益を重視するよう台湾政府に呼び掛けた。「外国人労働者への虐待」は、米国国務省の人権リポートでも、台湾の4大人権問題の一つとして何度も指摘されているという。