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経済成長率、4.58%に上方修正


ニュース その他分野 作成日:2007年8月24日_記事番号:T00002284

経済成長率、4.58%に上方修正

 
 行政院主計処は23日、第2四半期の経済成長率が過去6四半期で最高の5.07%となったことを受け、今年通年の予想成長率を4.58%に0.2ポイント上方修正した。中華経済研究所を含む4大シンクタンクも全て7月までに経済成長率予想の上方修正を行っており、一見力強さを感じさせるが、◆昨年の成長率(4.68%)は下回る◆アジア諸国の中では並の成長率◆一般市民は成長を体感できていない──などの点が指摘されており、今年の台湾経済の全体パフォーマンスは「まあまあ良い」程度だと言えそうだ。
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 許璋瑤主計局長は、経済成長率を上方修正した理由として、民間投資、民間消費、貿易がいずれも好調であることを挙げた。民間投資は第2四半期、域内に12インチウエハー工場を持つ半導体7社と液晶パネルメーカー2社の投資額のみで計1,400億台湾元(約4,900億円)と大きく増加し、同期の5%成長を実現した主因となった。製造業の今年の計画投資額は昨年比59%増、政府の都市再開発、農地再開発計画もあり、主計処は今年の民間投資成長率は5.9%へと上方修正した。

 域内総生産額(GDP)の6割を占める民間消費は、昨年はクレジットカード債務問題が発生しながらも域内企業の株式配当額が計1兆1,000億元に及んでいること、及び今年上半期は企業従業員の給与が1.6%増加していることから、通年で3%を予測。貿易も国際経済が安定的に拡大するという予測の下、今年6.89%の成長を予想している。

 こうした内外経済の現状から、主計処は、「安定的な経済成長は来年まで続き、来年の経済成長率は4.51%、1人当たりの域内総生産額(GDP)は来年1万7,300米ドルに達する」と予測している。

 なお、注目されている米サブプライムローン問題が台湾経済に影響を与えるかについては、許局長は、「台湾(金融機関)の損失は20億元余りで、株式市場全体の株価総額21兆元から見て全く微少だ」として、ほとんど影響を受けないという見方を示した。

「域内の投資拡大が必要」

 経済統計数値の相次ぐ上方修正に対し、24日付自由時報は、「他のアジア諸国と比較すれば別に目立った数字ではなく、域内市場も特別活気があるわけではない。政府が景気振興に力を入れなければ勤労者の所得は増えず、経済成長率の数値がさらに高まろうが実質的な意義はない」と批判した。

 米調査会社グローバルインサイトがこのほど発表したアジア主要国の今年の予想経済成長率は、中国の10.0%を筆頭に、旧NIESのシンガポールと香港が5.5%と、いずれも台湾を上回っており、台湾は韓国(4.4%)と日本(2.3%)を上回るのみだ。

 台湾の場合、域内製造業の大規模な中国移転による就業機会の減少と民間消費の減退、輸出受注が増えたといっても実際に出荷するのは中国の生産拠点からであるため、そのメリットが感じられないなどの問題がある。自由時報は、「域内投資の拡大によって国民の実質所得が増えて民生消費に反映してこそ、はじめて意義のある経済成長といえる」と論評している。