鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の携帯電話受託生産メーカー、富士康国際(FIH)の中国広東省深圳の龍華園区で25日、19歳の男性従業員が飛び降り自殺した。同社での飛び降り自殺は今年11件目(9人死亡、2人けが)で、特に5月は6日からの20日間で5人が亡くなる異例の「自殺ラッシュ」となっている。香港では労働団体による抗議活動が行われたほか、鴻海に製品を発注しているアップルやヒューレット・パッカード(HP)も懸念を示すなど、波紋が拡大している。26日付経済日報などが報じた。
中国政府も26日、楊毅・国務院台湾事務弁公室(国台弁)報道官が連続自殺問題に深い遺憾の意を表明。実情を把握するため富士康に対策チームを派遣したことを明らかにした(26日=中央社)
香港の労働団体や大学生らの抗議グループは25日、約30人が富士康香港事務所に赴いて従業員の労働条件改善を要求するとともに、富士康が受託生産するアップルのiPhoneの不買運動を行うと表明した。アップルの広報担当、ジル・タン氏は富士康の連続自殺問題で、「当然関心を持っている。製品がどこで製造されようと、当社は社会的責任を最も厳しく守る」と発言。また、鴻海にノートパソコンの生産を委託しているHPも、シンガポールの広報担当が「サプライヤー企業の労働環境を積極的に調査している」と語った。
郭台銘・鴻海集団董事長は26日に自ら龍華園区を訪れるとともに、台湾および海外メディアに工場の取材を開放する。企業秘密扱いだった工場内部の撮影を許可するのは異例の対応で、情報公開を通じて「搾取工場」との批判を打ち消す狙いがあるとみられる。一方、富士康は24日夜、各従業員宿舎の屋上に高さ3メートルの金網を設ける緊急措置を取った。
25日自殺した男性は湖南省出身で、4月12日から深圳工場で働き始めたばかりだった。将来の希望と現実との落差の大きさや家庭環境の悩みで生きていくことに自信を失ったとの遺書が残されていた。