立法院は29日、営利事業所得税(法人税)の税率を現在の20%から17%に引き下げる所得税法改正案を可決した。台湾の法人税率はアジアで香港(16.5%)に次ぐ低さとなるため、外資誘致や海外に進出した台湾企業の回帰に効果が期待されている。29日付蘋果日報が伝えた。
台湾の法人税率は、昨年5月に促進産業升級条例(産業高度化促進条例)の期限切れを踏まえ、25%から20%に引き下げられ、今回はさらに企業の競争力強化と外資誘致を目指す産業創新条例の制定に合わせ、業種を問わず一律17%に引き下げられた。
財政部は法人税率引き下げによる歳入減が年間343億元(約974億円)に達するとしている。一方で、経済部は法人税率引き下げによる経済効果を690億元、経済成長率の押し上げ効果を0.5ポイントと見込んでいる。
行政院経済建設委員会(経建会)の劉憶如主任委員は「今後(中台間で結ばれる)海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)と組み合わせれば、主要ライバルの韓国に比べ、台湾は競争力と投資上の魅力を備えることになる」と指摘した。
中華民国全国工業総会(工総)の陳武雄理事長は「産業界にとって朗報だ。産業界の投資意欲を高めるだけでなく、具体的な計画を立てやすくなり、台湾の中長期的な経済発展を促進する」と歓迎した。
台湾大経済学部の林建甫教授は「法人税率引き下げに中台関係の改善が重なれば、外国企業の投資を誘致でき、民間投資の活発化が見込める。経済効果は690億元にとどまらないのではないか」と分析した。