華碩電脳(ASUS)は31日、タブレットパソコン「Eee Pad」を発表した。USBポートをはじめアップルiPadが持たない機能をそろえた野心作で、どの程度シェアを伸ばすか注目される。同社は北米電子ブックリーダー市場ではiPadを迎え撃つアマゾン・ドット・コムと提携を決めており、アップルと正面対決する構えだ。1日付電子時報などが報じた。
ASUSのEee Pad。10インチ機種で重さはわずか675グラムだ(ASUS提供)
Eee Padは12インチと10インチの2機種で、USBポートやウェブカメラ、Adobe Flashに対応と、iPadが持たない機能を埋め合わせている。独自のドッキングベースでキーボードと連結させて、ノートパソコンと同じ形にして使用できることもアピールポイントだ。
12インチ機種は中央処理装置(CPU)にインテルのデュアルコアプロセッサー、基本ソフト(OS)にウインドウズセブン(Windows7)の組み合わせで、10インチ機種にはプロセッサーにARMアーキテクチャのエヌビディア・テグラ2を採用したバージョンもある。価格は12インチが599米ドル、10インチが399~449米ドル、いずれも和碩聯合科技(ペガトロン)に生産を受託している。
アプリケーションソフトはASUS@vibeを利用できるほか、ASUSのアプリケーションストアが来年第1四半期から利用できるようになる見通しだ。
Eee Padがユーザーに受け入れられるかについてあるノートPC業者は、鍵はアプリケーションの充実およびiPad並みの使いやすさを実現できるかにあると指摘している。Eee Padは「ウインテル」採用のため、機能パフォーマンスが欠点になるとの見方だ。
なお、10インチARM機種は来年第1四半期に、グーグル・アンドロイドの次期開発コード「Gingerbread」を搭載すると観測されている。ASUSや宏碁(エイサー)、微星科技(マイクロスター・インターナショナル、MSI)など台湾勢の相次ぐ採用によって、ARMベースのアンドロイドPCは、長年にわたる「ウインテル」の覇権を脅かすとの見方も出ている。
ノートPCにアマゾンソフト搭載
1日付経済日報によると、ASUSは北米市場に出荷するノートPCおよび低価格ノートPC(ネットブック)に、アマゾンの専用アプリケーション「Kindle for PC」を搭載することで同社と提携した。これによりユーザーは既存「キンドル」のほか、ASUSのノートPC、ネットブックでもアマゾン販売の電子ブックコンテンツを購読できるようになる。
同市場ではアマゾンに対し、iPadに電子ブックリーダー機能を持たせたアップルが挑戦する形となっている。アップルによると、既にiPad経由で25万冊以上が販売された。
米技術系調査会社フォレスターリサーチによると、米電子ブックリーダー市場は今年、前年比2倍の600万台規模への成長が予想されており、ASUSはアマゾンとの提携による恩恵が期待できる。