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ハイテク企業の中国拠点、人件費に上昇圧力


ニュース 電子 作成日:2010年6月3日_記事番号:T00023173

ハイテク企業の中国拠点、人件費に上昇圧力

 
 中国に進出する台湾ハイテクメーカーが、人件費の上昇圧力にさらされている。一部企業が第1四半期に基本給を10~20%引き上げたのに続き、鴻海科技集団(フォックスコン)傘下、富士康国際(FIH)が深圳工場で従業員の自殺が相次いだ問題を受け、今月30%賃上げを決めたためだ。ハイテク大手各社は追随を否定しているものの、富士康の賃上げを皮切りに人件費相場が上昇すれば、現状でも粗利益率が3~4%にすぎない受託生産メーカーにとって大きなマイナス材料となる。3日付工商時報などが報じた。
 
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 富士康の大幅賃上げに対し、ノートパソコン受託生産大手で、中国に従業員5万人を抱える広達電脳(クアンタ・コンピュータ)や、同6万人の和碩聯合科技(ペガトロン)は、追随しないと表明した。これは第1四半期に基本給を10~20%引き上げているためで、既に賃上げが必要な環境に対応しているためだ。なお、ペガトロンは、ノートPCの受託生産にかかるコストは材料費が大部分を占め、人件費は0.6~0.7%にすぎず、粗利益率への影響は大きくないと強調している。

 両社のほか、緯創資通(ウィストロン)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、電源アダプタ最大手の台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)、光電関連製品大手の光宝科技(ライトン・テクノロジー)なども、現時点では賃上げに追随しない構えだ。

深圳市、7月最低賃金引き上げへ
 
 富士康の賃上げは、深圳市の最低賃金が7月に引き上げられることを見越した措置で、中国政府による労働者の賃金改善方針に沿ったものとの見方もある。

 深圳市人保局の王敏局長は先日、7月1日から最低賃金を10%以上引き上げ、経済特区内外で統一すると述べている。深圳市の最低賃金は現在、富士康深圳工場のある龍華鎮など「特区内」が月給1,000人民元(約1万3,500円)、それ以外の「特区外」が900人民元だが、仮に20%引き上げられれば1,080人民元になる計算だ。

 これについて深圳市台商協会の洪嘉生・常務副会長は、金融危機をなんとか乗り切った台湾企業も、人件費上昇がさらなる打撃となり、一部が淘汰される恐れもあると語った。中国経済の成長によって、台湾企業の中国沿海部での経営環境はさらに厳しさを増しているようだ。
 
【表】