8日付経済日報によると、DRAM世界3位のエルピーダメモリは4日、2012年にも台湾メーカーと共同で中国に新工場を建てる計画を明らかにしたが、そのパートナーは生産委託契約を結んでいる茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)か力晶半導体(PSC)の呼び声が高い。日台は、台湾で研究開発(R&D)、中国で製造の「チャイワン(Chaiwan)」で、最大手のサムスン電子に対抗する構えのようだ。
坂本幸雄エルピーダ社長は東京でブルームバーグのインタビューを受け、中国の消費者に販売する製品は中国での生産が必須となると語り、台湾メーカーと協力しての進出に対し、中国政府に協力を求める考えを明らかにした。実現すれば、日本の半導体メーカーにとって20年ぶりの中国工場設立となり、台湾メモリメーカーとっては初の外資との提携による海外進出となる。
これについてプロモスは、エルピーダとの提携は順調だが中国進出に関する件は答えられないと表明。力晶はエルピーダと同件について協議したことはないとコメントした。
重慶・徐州・蘇州が候補地
プロモスは重慶市に月産能力2万枚の8インチウエハー工場、渝徳科技(ProQ)を擁している。これは台湾メモリメーカーで唯一の中国工場で、しかも隣接地は空き地だ。坂本エルピーダ社長は先日、プロモスが今年エルピーダにとって最も重要なパートナーの1社になると述べており、このため中国進出に当たっての提携先は同社になる可能性が最も高いとみられている。
一方力晶は、8インチ工場の中国投資を認可されているものの、工場はいまだ着工に至っていない。その上、江蘇省徐州市に半導体産業の集積団地「力晶半導体産業園区」を整備する方針とされ、エルピーダと共同で中国に進出となれば、徐州を選択するとみられる。
このほか、エルピーダが2008年、中国のベンチャーキャピタル、蘇州創業投資集団(SVG)と合弁で12インチ工場建設を計画していたが立ち消えになっている江蘇省の中国-シンガポール蘇州工業園区(SIP)も候補地となる可能性がある。
日米中台で包囲網?
業界関係者は、エルピーダが台湾メーカーと中国に進出し、中国政府の出資を取り付けられれば、DRAM世界市場シェアが30%を超えるサムスンに脅威を与え得ると指摘した。サムスンにとっては、日米の技術大手と提携している台湾勢が中国と手を結び、包囲網を敷かれれば大きな打撃を受けるとみられるためだ。
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