液晶パネル大手、友達光電(AUO)の彭双浪執行副総経理は9日、市況について、中国市場でパネルの在庫消化がほぼ終わり、在庫水準は4~5週に低下していると指摘。8月には同国国慶節(建国記念日、10月1日)連休シーズンに向けた在庫補充需要の高まりが予想され、また欧州で信用不安による購買意欲低下が懸念されている問題についても「市場全体の需要は依然成長しており、影響は大きくない」とし、第3四半期同社の生産ラインはフル稼働になるとの見通しを示した。10日付工商時報などが報じた。
彭双浪執行副総経理(中)は話題を集めている富士康の大幅賃上げについて、「当社の中国従業員の賃金水準は一般より高い」と語り追随しない考えを示した(9日=中央社)
液晶パネル市場は第2四半期、中国で労働節(メーデー)連休の液晶テレビ販売が予想より振るわなかったこと、欧州での需要低迷などから、パネル価格が下落した。
しかし、AUOの陳来助総経理は、「第2四半期は例年のオフシーズンにもかかわらず需要が安定しており、価格下落も緩やか」と指摘。また陳炫彬副董事長も、第2四半期の設備稼働率は90%で、「大型パネル出荷量は前期比10%増の目標を順調に達成できる」と語った。
パネル価格も反転へ
欧州不安の影響について彭執行副総経理は、ブランドメーカーはユーロの為替レートが不安定なことから欧州市場での在庫補充を減速させているが、在庫水準の低下が進んでおり、第3四半期には補充スピードが急速に回復するとの見方だ。
また業界関係者によると、世界市場における液晶テレビ在庫水準が適正な状態にまで低下したことを受け、販売目標達成とシェア拡大を狙う、サムスン電子やソニーといった大手テレビブランドは、第3四半期からパネル調達を拡大するとみられ、第2四半期は下落が続いたパネル価格も反転すると予想されている。
LEDパネルは部品不足
なお、今年注目を集める発光ダイオード(LED)をバックライトに採用した液晶パネルについて彭執行副総経理は、「業界各社は最近、LEDパネルの出荷目標を下方修正しているが、これはLED、導光板など重要部品の不足が主な原因」と語った。ただ、LEDバックライトの普及は急速に進んでおり、LEDテレビが市場に占める比率は昨年の3%から今年は20%以上に達するとの予測を示した。
また3D(3次元)映像対応パネルについてAUOは、ノートPC、液晶モニター、テレビ向けと全方位的に準備を進めており、第3四半期中に量産に入ると表明した。
中国7.5世代工場、計画に遅れも
同社は液晶パネル前工程の中国投資開放を受け、3月に江蘇省昆山での7.5世代工場建設への認可を経済部投資審議委員会(投審会)に申請したが、依然審査中だ。これについて陳来助総経理は「スケジュールに変更はない」とした上で、「当社の大陸(中国)工場設置は、サプライチェーン全体に恩恵をもたらし、台湾産業のアップグレードにもつながる」と強調し、経済部に審査を急ぐよう呼び掛けた。
一方で同日付経済日報は、設備業者の話として、「AUOは既に昆山7.5世代工場計画の延期を決め、設備発注を一時停止するとの通知を出した」と伝えた。一部では、設備の納品は当初予定の2011年3月から3カ月間遅れるとの見方も出ている。