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ECFAアーリーハーベスト、500項目で合意


ニュース その他分野 作成日:2010年6月14日_記事番号:T00023383

ECFAアーリーハーベスト、500項目で合意

 
 海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)のアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)に盛り込む対象品目数は、台湾側500品目、中国側200項目とすることで13日、中台が合意に達した。台湾側は自動車の完成車が対象から除外され、業界で驚きをもって受け止められている。ECFAは6月末から7月初旬ごろに締結、約半年後に発効するスケジュールが濃厚となった。14日付工商時報などが報じた。
 
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協議終了後、黄志鵬・経済部国際貿易局長(左2)と唐煒・中国商務省台湾・香港・マカオ司長(右3)が合意内容を記者団に明らかにした(13日=中央社)
  
 中台の代表団は同日北京で交渉を行い、アーリーハーベスト品目の外、協定書の内容を大部分固めた。

 物品貿易のアーリーハーベストに盛り込まれる台湾側の計500品目は、工商時報によると対中貿易額にして100億米ドル余り、経済日報によると120億米ドル余りに達する。

 中台双方が対象品目とした主な産業は石油化学、紡織、機械で、台湾側は航空フォワーダー、コンピューターサービスが盛り込まれたほか、台湾100%資本の病院建設が中国の一部の省で開放されることになった。
  
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銀行の人民元取り扱い、CEPAに倣う
 
 サービス業のアーリーハーベストで、中国の台湾金融業界に対する市場開放では、台湾の銀行が人民元取り扱い業務に参入する条件が、中国と香港が締結している経済貿易緊密化協定(CEPA)に倣って、▽支店設立満2年▽申請前の1年間が黒字であること──に緩和されることが決まった。外資に対する現行規定は「支店設立満3年、2年連続黒字計上」となっている。

 また、現在外資系銀行に対し最大6支店までしか認めていない支店設立が、台湾業者に対しては大幅に緩和されることとなった。詳細は後日公表される。

 台湾保険業者の中国進出条件では、現行規定の「申請提出の前年度末に資産総額50億米ドル以上、保険業務経営30年以上、中国域内に代表機関設立後2年以上」が、資産規模は母集団との合算を認め、企業が合併を経ている場合、経営年数に合併前のものを加えることが認められるようになる。

 台湾証券会社による中国証券会社に対する出資比率の緩和については、今回は合意に達しなかった。
 
逸失利益1千億元以上
 
 自動車の完成車がアーリーハーベストから除外されたことで、経済日報によると、台湾製自動車の中国輸出における逸失利益は年間1,000億台湾元(約2,840億円)以上に上るという。

 今月、中国・奇瑞汽車(チェリー)の中小型車を台湾で発売したばかりの勝栄汽車は、幹部が驚きを示し、「来年から台湾で組み立てた奇瑞車の中国輸出を決めていたが、計画の見直しを迫られる」と語った。

 またある業者は、「台湾自動車メーカーによる中国市場でシェア獲得、海外大手ブランドの中台分業への参画の、絶好のタイミングを逃してしまう」と弊害を指摘した。除外の理由は現段階では不明だが、ゼロ関税の適用対象について中台双方の意見の隔たりが大きかったためなどの観測が出ている。一方、自動車部品はアーリーハーベストに盛り込まれることとなった。

一部石化原料、合意できず
 
 石化分野では、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などの基礎原料で合意に達せず、台湾側は引き続き盛り込みを求めていくこととなった。台湾業界のこれらの基礎原料の対中輸出額は大きいものの、アーリーハーベストへの盛り込みには中国石油業界の反対が強いもようだ。

中台で委員会設置
 
 今回の中台合意を受けて、ECFAは今後6月の中下旬に台北で第4回交渉が行われ、6月下旬から7月にかけて締結される見通しとなった。発効時期については、工商時報が「今年11月下旬の直轄市長選挙前」と報じた一方、経済日報は「来年1月1日」と伝えた。

 頼幸媛・行政院大陸委員会(陸委会)主任委員は13日、ECFAに関する今後の協議や、実施状況の監督、条文の解釈、争議の解決などを行う中台の「両岸経済合作委員会」を設立することで、双方が合意したことを明らかにした。半年に1回、定期会議を開催し、必要な際には臨時会議も開く方針だ。
 
【表】