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フォルクスワーゲン、台湾工場を計画


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2010年6月15日_記事番号:T00023413

フォルクスワーゲン、台湾工場を計画

  
 独フォルクスワーゲン(VW)が台湾での工場設置を計画しているもようだ。呉敦義行政院長は14日、台湾での生産を計画している「ある世界的な自動車メーカー」から訪問を受けたことを明らかにした。業界関係者によるとこの自動車メーカーはVWで、海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)締結による対中輸出のゼロ関税化をにらんだ動きだという。ただ、13日に中台が合意したECFAのアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)の対象に完成車は含まれておらず、投資計画が実現するかどうかは当面観察が必要だ。15日付工商時報が報じた。
 

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 観測によるとVWは、台湾工場の候補地として彰化浜海工業区(彰化県)を検討しており、今月下旬に杜紫軍・経済部工業局長の案内で同地を視察に訪れる予定だ。工商時報によると、同社は投資額30億~50億台湾元(約85億~142億円)、年産10万台以上の工場を計画している。観測に対しVWの台湾総代理、太古標達汽車を傘下に持つ太古汽車集団は「ノーコメント」としている。

 昨年トヨタを抜いて世界最大規模の自動車グループとなったVWは、1991年に慶豊集団と合弁で慶衆汽車工業を設立し、台湾で商用車「T4」を生産していた。 その後経営理念の不一致により合弁を解消。金融危機発生を機にVWは台湾生産を取りやめ、輸入車のみの販売に切り替えた。

 今回の台湾工場設置計画は、小型車がECFAアーリーハーベストの対象になるとの情報を得た太古集団が、昨年VW側に提案したものとされる。さらに当時、工業局と台湾自動車各社の間で、「ゼロ関税を受けられるのは台湾に工場を持つメーカーのみ」との条件で合意が形成されたため、太古集団は合弁による工場設置を強くVW側に訴えたという。

東南・南アジア向けも視野に
 
 同日付経済日報によると、VWは現在中国華南地方および東南沿海地区に生産拠点を持っておらず、広東省、台湾などを含めて工場設置を検討してきたが、昨年、広東省仏山に大規模拠点の設置を発表した。これにより台湾工場設置の可能性は消えたとみられていただけに、今回の呉行政院長の発言に注目が集まっている。

 なお、VWは台湾工場で生産した車両を中国以外に東南アジア、南アジアへ輸出することも検討しているという。

完成車、2次開放でリスト入りへ
 
 一方、ECFAアーリーハーベストの対象に完成車が含まれなかったことについて、杜工業局長は、輸入割り当て台数、安全認証、原産地証明など複雑な問題が解決できず「間に合わなかった」と語り、「次の段階で関税引き下げ対象に入る」との見通しを示した。

 また台湾区車両工業同業公会の理事長を務める陳国栄・裕隆汽車総経理は、今回、完成車両がゼロ関税対象とならなかったことに「意外だが今後必ず対象となる。遅いか早いかの問題だ」と語り、できるだけ早期の引き下げ実現を希望をすると表明した。
 
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