ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は16日、米薄膜太陽電池モジュールメーカーのStionに21%出資し、CIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)薄膜太陽電池市場に参入したと発表した。変換効率の高いCIGSへの参入で、同業の聯華電子(UMC)、液晶パネルの友達光電(AUO)など太陽電池事業への参入を進める他の大手ハイテクメーカーをリードした形だ。17日付経済日報などが報じた。
TSMCは、傘下の投資会社、ベンチャーテク・アライアンス(VTAF)を通じてStionに5,000万米ドルを出資した。この資本提携に基づいて、StionはTSMCにCIGS太陽電池製造技術を移転し、TSMCはStionに太陽電池モジュール製品を供給する。さらに製品の共同開発も進める。TSMCは現在太陽電池工場を所有しておらず、「今後自社工場を設立するか、生産を外部に委託する選択肢がある」との認識を示した。
蔡力行・TSMCグリーンエネルギー新事業総経理は、Stionとの提携によって低コスト構造の技術を獲得できると指摘。TSMCは優れた研究開発(R&D)力および製造力によって、太陽電池業界のリーディングカンパニーとなり得、変換効率の高い製品を手ごろな価格で提供できると期待を示した。
産業界では、CIGS薄膜太陽電池は変換効率が9~13%と高く、製造工程によってコストが抑制できるため、最も潜在成長力を秘めていると目されている。台湾ではTSMCに先駆け、光ディスク大手の錸徳科技(ライテック)が2008年10月に参入している。
シリコン系と2大分野を推進
TSMCは今回の出資で、CIGSとシリコン系の太陽電池2大分野に展開を広げたことになる。太陽電池と発光ダイオード(LED)のグリーンエネルギー事業への注力を表明している同社は昨年12月には、太陽電池最大手の茂迪科技(モーテック・インダストリーズ)に62億台湾元(約176億円)、20%を出資している。
大手ハイテクメーカーによる太陽電池事業では、いち早く参入したUMCが、傘下の聯相光電(ネクスパワー)を薄膜太陽電池モジュールの主要メーカーに育て上げている。AUOは、昨年6月に日本の太陽電池用シリコンウエハーメーカー、エム・セテック(東京都台東区)を買収したほか、台湾、中国、チェコなどにモジュール工場を設立して川上から川下までを網羅し、既に欧州から受注を獲得している。
【表】