ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

身分証番号A123456789、覚えやすさゆえに災いが


ニュース 社会 作成日:2010年6月21日_記事番号:T00023473

身分証番号A123456789、覚えやすさゆえに災いが

 
 台北市生まれの謝條根さん(53)は頭が痛い。ここ1カ月間だけで、裁判所から文書偽造の疑いで3通もの召喚状が届いている。これもすべて彼の身分証番号(身分証統一編号)のせいだ。

 台湾では出生届を出すと同時に、アルファベット1文字と9けたの数字からなる身分証番号を付与される。アルファベットは戸籍地、最初の数字は性別(男性は1、女性は2)を表し、同じ番号はふたつとないため、個人を特定することができるいわば背番号である。

 謝さんの身分証番号は「A123456789」。
非常に覚えやすく、ラッキーと思いきや大きな落とし穴があった。というのも1~9までの数字を並べるだけという思い付きやすさから、しょっちゅう盗用されてしまうのだ。

 なんと政府機関までもが、健康保健ICカードや新式身分証への変更を促す広報活動に、サンプルとして謝さんの身分証番号を「無断使用」。数年前メディアが「この番号は実在の人物のもの」と報道してからは、使われなくなったというが...。

 また、援助交際をした別人が彼の身分証番号を使ったため疑われたことも。警察は身分証番号から謝さんを割り出し、事情聴取を求めたことから、危うく家庭内でひと騒動起こるところだった。

 税務署から税金の追加支払いを要求されることも。いつの間にか所得や不動産が増えているのだから、謝さんには訳が分からない。全国各地の裁判所や地方検察署から召喚状が届くこともたびたびで、嫌疑はいずれも詐欺や文書偽造だ。

 謝さんが泣くに泣けないのは、自分こそが「ご本尊」なのに、携帯電話やクレジットカードの申し込みなどの際に身分を疑われること。「犯罪歴がある」として拒否されたことさえある。そのため携帯電話は妻名義で申請、クレジットカードは一切持っていない。

 戸籍事務所は、もし謝さんが身分証番号を変えたいと希望すれば、「特殊なケース」として受理する方針だとか。しかし、それに伴い各種書類や証明などもすべて書き替えなければならず、謝さんはお金と時間の無駄とあきらめ、警察や裁判所への呼び出しは「法律知識を増やすチャンス」と考えることにしているそうだ。

 こんな身分証番号に当たった謝さん、果たして運がいいのか悪いのか…?