台塑集団(台湾プラスチックグループ)はこのほど、石油化学製品の90%以上が中台の海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)によるアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)対象品目に含まれなかったことを受け、中国浙江省の寧波石化プラントに22億米ドルの追加投資を行うことを決めた。19日付経済日報が伝えた。
台プラはECFAによる関税撤廃メリットが石化製品に及ばない見通しになったことから、中国での生産規模拡大が避けられないと判断した。今回の投資は、同社にとって過去約10年間で最大規模となる。
今回のプラント拡張の目玉は年産120万トンの高純度テレフタル酸(PTA)プラントの新設。3年以内に操業開始の予定で、寧波石化プラントにおけるPTA生産能力は年180万トンに達する見通しだ。これに第6ナフサ分解プラント(通称六軽、雲林県麦寮郷)や宜蘭龍徳プラントの生産分を加えると年産220万トン規模となり、BPアモコと台湾中油の合弁企業、中美和石油化学(CAPCO)を上回り、世界最大規模となる。
寧波石化プラントでは、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)のビスフェノールA(BPA)プラント、可塑剤ジオクチルフタレート(DOP)プラント、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、台化)のABS樹脂プラントの新規建設が既に決まっているほか、台化のPTAプラント、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)のアクリル酸(AA)、アクリルエステル(AE)の増産、南亜プラスチックのC5合成ゴムプラントの新設が新たに決まった。
証券会社の試算によると、寧波石化プラントの2009年の売上高は800億台湾元(約2,256億円)だったが、拡張後の12年には倍の1,600億元に達し、台プラグループ主要4社の売上高の約10%を占める見通しだ。
王文淵同グループ総裁は18日、台化の定時株主総会で「製品のほとんどがアーリーハーベストの対象品目に含まれず、寧波石化プラントの生産品目と生産規模を拡大しなければ、東南アジアプラス日中韓の市場にアクセスできない」と語った。