台湾積体電路製造(TSMC)の蔡力行・グリーンエネルギー新事業総経理は21日、年内に中部科学工業園区(中科)でCIGS(銅・インジウム・ガリウム・セレン)薄膜太陽電池工場に着工する計画を明らかにした。一方、南部科学工業園区(南科)工場では、出資先の茂迪科技(モーテック・インダストリーズ)の多結晶シリコン太陽電池を利用した太陽光発電システムを導入する予定だ。TSMCの太陽電池事業はいよいよ具体化の段階に入ってきた。22日付経済日報などが報じた。
蔡総経理によると、中科CIGS太陽電池工場は、先日21%出資した米Stionの薄膜形成技術、スパッタリングプロセスを採用する。StionのCIGS太陽電池モジュールは既に光電気変換効率が12~13%に上るが、TSMCの技術力で13%以上に引き上げる構えだ。
TSMCは中科に対し、同工場向けに5ヘクタールの用地を申請している。投資額は数十億台湾元(1元=2.9円)に上るとみられる。
TSMCはまた、南科の12インチウエハー工場Fab14第4期計画で、新工場の屋根に太陽光発電システムを搭載する計画だ。台湾電力(台電)による買い取りを通じて、自社工場で必要な電力を賄う考えだ。これは、TSMCが昨年末モーテックへ20%出資後、初めての具体的な業務提携となる。
中国進出も検討
蔡総経理は、太陽電池産業が今後数年間、急成長が続くと好感している。特に市場規模の大きい中国について、各社が相次いで参入する中、TSMCも進出するとの考えを示す一方、自社生産拠点を設置するかはまだ検討段階にあると語った。
さらに、温室効果ガスの排出権取引への参入を検討していることも明らかにした。将来的には同社の排出量を世界水準以下に抑え、排出権売買の売り手になると見込む。
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