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「台湾経済のビタミン」、大前研一氏がECFAを評価


ニュース その他分野 作成日:2010年6月23日_記事番号:T00023560

「台湾経済のビタミン」、大前研一氏がECFAを評価

 
 経営コンサルタント、大前研一氏は22日台北市内で行った講演で、中台間で締結が間近に迫った海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)を「丹念に調合された台湾経済のビタミンだ」と高く評価した上で、ECFA、17%への引き下げが決まった営利事業所得税(法人税)、中台直航便の3点の強みを持つ台湾の成長性を非常に好感していると強調した。また、中台の経済関係は富士康国際(FIH)による大幅賃上げを転機として新たな段階に入り、台湾企業は今後中国で専門サービス業に注力すべきと提言した。23日付経済日報などが報じた。
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台湾を200回以上、中国を100回以上訪れて観測を続けているという大前氏には台湾政財界にファンが多く、この日も多くの政府高官や大企業経営者らが講演に聞き入った(22日=中央社)

 大前氏は、ECFAは中国の多大な忍耐によって交渉が進展したとの認識を示した上で、「ECFAと17%の法人税、中台直航の魅力で、台湾は企業にとって大中華圏の重要拠点となり得る。日本企業の進出も増える」との見方を示した。

 大前氏は台湾は金融危機の影響から迅速に抜け出したと評価し、その最大の理由に中台貿易の成功を挙げた。そして「台湾経済の統計データは非常に良いのに、なぜ記者たちはいつも文句ばかり言うのか」と付け加えた。

Chaiwanモデル、終了へ

 一方、中台の経済関係は、台湾で受注し中国で製造するいわゆる「Chaiwan」モデルが、中国の労働コスト上昇や人民元切り上げによって行き詰まると指摘。新たな段階ではECFAによって公平な競争機会が設けられたことを機に中国の内需市場開拓に注力し、特に金融、物流、法律、不動産、土地開発など高付加価値の専門サービスでの取り組みを強めるべきと提言した。中国でこれらの分野はシンガポールや香港企業が地位を築いており、大前氏は「世界と真っ向から競争する厳しい戦いになる」とも予測した。

 大前氏はこのほか、日本が新たな成長モデルとして汚水処理施設や新幹線などのインフラ輸出に力を入れていることを挙げ、日本企業と協力して、中国へのインフラ輸出でビジネスチャンスをつかむべきとアドバイスした。台湾企業は技術と資金を持つものの、インフラの対中輸出は政策で規制されているため、「日本企業を盾にすればよい」との見方だ。

過度の中国依存、懸念を否定

 大前氏の講演は総統府と台北国際会議中心での2回にわたって行われた。総統府での講演で、台湾が過度に中国に依存していると懸念を持たれていることについて馬英九総統から見解を求められた大前氏は、日本もかつて米国に依存しつつ欧州や東南アジア市場を開拓したと例を挙げ、「台湾はその強みを生かして先頭に立っているにすぎず、過度に中国に依存しているとはみていない」と回答した。