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シムドライブと東元電機、EVモーターで提携


ニュース 自動車・二輪車 作成日:2010年6月24日_記事番号:T00023590

シムドライブと東元電機、EVモーターで提携

 
 電気自動車(EV)の研究開発(R&D)を行う慶応義塾大学発のベンチャー企業、SIM-Drive(シムドライブ、本社・東京都千代田区、清水浩社長)は23日、車輪にモーターを内蔵させる「インホイールモーター」技術で東元電機(TECO)と提携を結んだ。東元の中レキ(桃園県、レキは土へんに歴)工場にモーターの生産ラインを設置し、来年から量産に入る。三菱自動車やいすゞ自動車に供給する予定だ。2013年には生産量がEV10万台分に達する見込みで、将来的には東元を通じ中国市場での展開も視野に入れる。24日付工商時報が報じた。
 

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提携契約書を取り交わす劉兆凱・東元董事長(左)と清水浩シムドライブ社長(右)。中央は福武總一郎会長(23日=中央社)
  
 シムドライブは、慶應義塾大学環境情報学部教授で、30年にわたりEV研究に携わってきた清水社長が09年8月に設立した企業。ベネッセコーポレーション、ガリバーインターナショナル、丸紅などが出資している。

 「インホイールモーター」技術は、自動車のタイヤホイールの中に直接モーターを内蔵させることで、車体の軽量化を図るとともに、動力伝達のロスおよび騒音を抑えることができる。

 清水社長によると、自身が技術統括として参加した慶応大学のプロジェクトで開発した世界最速のEV「Elica」は、8個のモーターを装着した状態で、台湾高速鉄路(高鉄)より速い最高時速370キロメートルを記録。立ち上がりの加速はわずか7秒で時速160キロに達し、ポルシェを上回った。またエネルギー使用量も、一般のEVに比べ約3分の1を節約できるという。

 なおシムドライブは今年1月、同社の技術を利用したEV試作車第1号の開発を、13年の量産を目指し開始すると発表。東元、三菱自、いすゞのほかオリンパスやパイオニアなど計34の企業や自治体が開発への参加を表明している。先ごろ日本で同社の試作品に試乗した東元集団の黄茂雄会長は、「非常に競争力が高く、将来主流となる」と評価した。

「東元の製造水準は世界レベル」
 
 今回契約のために来台したシムドライブの福武總一郎会長(ベネッセコーポレーション代表取締役会長)は、多くの企業の中から東元を提携パートナーとして選択した理由を、「モーター分野での発展は目を見張るものがあり、工場の製造水準は世界最高レベルにある」と説明した。また「東元は中国市場で既に発展を遂げ、知名度も高い」として、これを生かしてシムドライブの開発したEVを中国で展開したいと語った。

バイク用モーターも開発
 
 また東元は、シムドライブと高出力モーターで提携する一方、工業技術研究院(工研院)と低出力モーターの研究開発で協力し、台湾のバイクメーカーとの提携で製品発売を目指す。東元の劉兆凱董事長は、「早ければ来年にも、インホイールモーター技術を応用した大型バイクが市場に登場する」と語った。劉董事長によると、インホイールモーターの初期市場規模は年間約50億台湾元(約140億円)が見込まれる。