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妻の暴力に脅える夫、現代台湾DV事情


ニュース 社会 作成日:2010年6月25日_記事番号:T00023591

妻の暴力に脅える夫、現代台湾DV事情

 
 「ドメスティック・バイオレンス(DV)」といえば、一般的に「妻が夫から受ける家庭内暴力」と思われがちだが、実は被害者は女性に限らない。「家庭暴力防治法」が台湾で施行されて12年になるが、男性が被害者という逆のケースが年々増加している。

 司法院の統計によると、今年1~4月にDVで保護を求めた被害者の男女比は1対6。DVで裁判所に訴える男性被害者は、毎月100人に上るという。

 DV被害者に占める男性の割合は、台北市では2008年に12%だったのが、今年4月までの累計では16%に増加。台北県でも09年の7%から今年は9%へ。高雄市では04年の7.3%から今年は13%へと、6年間で倍に拡大している。

 しかも、男性には「男のメンツ」があるため、被害を受けても訴えないことが多く、実際は統計よりずっと多いと推測されている。妻から暴力を受けても誰にも言えず、陰でこっそり泣いている男性も少なくないようだ。

 高雄市のある公務員男性は、妻よりも学歴が高いことを鼻にかけて威張り、機嫌が悪い時はうっぷん晴らしとばかりにたびたび妻を殴っていた。妻は子どものためを思い10年以上も耐えてきたが、とうとう堪忍袋の緒が切れて反撃を開始。やせ型の夫はかっぷくのよい妻から顔が腫れ上がるほど殴られ、あわててDVセンターに助けを求めたという。

 ある台北県議は、妻に浮気を疑われ家を出ることにしたが、家に衣類を取りに戻ったところ、妻と子どもたちから殴るけるの暴行を受けたという。

 このほか、躁うつ病の妻からの長期間にわたる暴力に長年耐えてきた警官や、期待通り昇進できないことで妻から言葉と肉体の暴力を受けた高学歴エンジニアなどが報告されている。台中県では、高齢の台湾人夫が若い中国人妻から暴力を振るわれるケースも多いとか。

 一般的に男性の場合は、肉体的な暴力よりも、精神的な暴力(モラル・ハラスメント)を受けることが多い。例えば妻から「性的能力がない」「稼ぎが悪い」などとばかにされたり、失業を責められたりといったケースだ。

 女性が強くなったのか、男性が弱くなったのか。はたまた実は以前から男性は影で耐え続けていたのか。とにかく、表舞台に現れるDV事情は時代とともに変わりつつあるようだ。