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ECFA、日韓にプレッシャー


ニュース その他分野 作成日:2010年6月28日_記事番号:T00023647

ECFA、日韓にプレッシャー

 
 中台が海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)を締結後、アーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)による効果で、台湾製品がライバルの日韓製品にとって大きな脅威になるとの見方が台湾政府高官から相次いで示されている。ECFAに刺激を受けた日韓が中国との自由貿易協定(FTA)締結を急ぐため、台湾は関税引き下げの具体案である物品貿易協定の交渉を急ぐべきとの発言も出ている。28日付工商時報などが報じた。
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重慶に出発する江丙坤・海基会董事長。重慶は日中戦争当時、第二次国共合作を推進した国民党の臨時首都だった歴史があり、中国側が調印の地として選んだのはその意義をアピールするためとの見方がある(28日=中央社)

 台湾の対中輸出では、539品目がアーリーハーベストの対象となった。輸出額で見ると、対中輸出全体の17%に当たる23億5,200万米ドルが対象で、日韓と競合する品目が大半を占める。

 これについてECFA交渉の代表を務める黄志鵬・経済部国際貿易局長は、「自転車とその部品、石化原料の一部、工作機械の一部、ポリエステルフィラメント糸、放電灯など台湾が日韓と競合する品目がアーリーハーベストの対象に含まれた」と評価した。約90品目は日韓製品に先立ち関税が引き下げられるため、台湾製品のシェア上昇が予想される。

物品貿易協定、「ただちに交渉」

 前経済部長の尹啓銘政務委員は物品貿易協定について、ECFA本文には発効後6カ月以内に協議を行うと盛り込んだものの、1カ月以内に直ちに中国側と交渉に入りたいとの意向を示した。

 同協定を急ぐのは、ECFAで不利が生じる日韓が中国とのFTA締結を急ぐとみられるためで、台湾は今後、日韓との間で「ゼロ関税獲得競争」を繰り広げるとの見方だ。

 これについて工商時報は、枠組みを取り決めるECFAは前菜で、物品、投資、サービスに関する具体事項を取り決める各協定がメインディッシュだと説明した上で、日韓が東南アジア諸国連合(ASEAN)と物品貿易交渉を行った際は交渉に2年間の時間がかかったと例を挙げ、「減税スケジュールは複雑で、対象品目や市場開放の程度は中台の敏感な政治的問題に触れる可能性があるため、交渉者と政策決定者の政治的知恵が試される」と指摘した。
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知財・投資保護協定、第6回江陳会で

 なお、対中窓口機関である海峡交流基金会(海基会)の江丙坤董事長は、物品貿易協定は交渉に時間がかかるため、中国側の海峡両岸関係協会(海協会)の陳雲林会長との第6回トップ会談(江陳会)での締結は見込めないものの、知的財産保護協定や中国の台湾企業に関心の高い投資保護協定は締結可能との見方を示した。

 江董事長は28日に重慶入りし、29日午後にECFAの締結を行う。

【表】