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TSMC、SMIC出資に認可


ニュース 電子 作成日:2010年6月29日_記事番号:T00023676

TSMC、SMIC出資に認可

 
 経済部投資審議委員会(投審会)は28日、台湾積体電路製造(TSMC)による、中国ファウンドリー最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)への間接出資を認可すると発表した。出資比率は約8%。台湾のファウンドリーが12インチウエハー工場を保有する中国業者に出資するのは初めて。これにより聯華電子(UMC)による和艦科技の合併計画も加速するとみられ、29日付工商時報は、「ファウンドリーによる中国投資の正式なスタート」と報じた。
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 今回の出資は、昨年TSMCが企業秘密の不正取得・使用でSMICを提訴した裁判で、SMICが賠償金2億米ドルを5年分割で支払い、さらにTSMCに株式の8%を無償譲渡、約2%のワラント(株式購入権)を付与することで合意した和解案に基づくもの。和解成立当時は、台湾の半導体業者による中国業者への出資は禁止されていたが、今年2月、台湾政府が半導体や液晶パネルなどの中国投資規制緩和を発表して解禁され、TSMCは3月にSMICへの出資を投審会に申請していた。

 投審会の范良棟執行秘書は、「認可されたのは8%出資の部分のみで、ワラント取得については申請を受けていない」としているが、今後10%出資が実現すればTSMCはSMICの第2株主となる。

 投審会はTSMCの出資計画について、▽無償で株式譲渡を受ける▽今年台湾で48億米ドルの設備投資、新規雇用5,000人を計画▽製造プロセスはSMICの0.13マイクロメートルに対しTSMCは45ナノメートルで既に量産(2世代以上リード)──と中国企業への出資条件を満たすと認定した。

 またTSMCも、今回の決定を受けて「SMICの経営に関与する考えはなく、技術が流出する懸念はない」と強調している。

直接投資は依然開放せず

 TSMCの上海松江工場を含め、従来8インチ工場の中国投資は開放されていたが、12インチ工場関連の投資に対する認可は今回が初めてだ。しかし投審会の范執行秘書は、「(12インチ工場への投資)開放は出資によるもののみで、直接投資は依然認められない」と説明した。

最大の恩恵はUMCに

 TSMCによるSMIC出資の意義について工商時報は、取得したSMIC株を公開市場で売りに出すだけで、SMICの株価を抑えて資金調達を困難にさせることができ、さらにTSMCが第2株主となれば、グローバル・ファウンドリーズ(GF)など海外大手ファウンドリーによるSMIC買収を防ぐ手段になると分析している。

 ただ同紙は、今回政府がTSMCの出資を認可したことで最大の恩恵を受けるのはUMCだと指摘した。UMCによる和艦科技の合併計画は長期にわたって進展がなかったが、同紙は年内にも政府の認可を受ける可能性が高まったとみており、さらにTSMCが圧力をかけることでSMICの競争力が弱まれば、UMCの和艦科技を通じた中国市場での展開が容易となり、一定のシェア拡大が可能との見方だ。

【表】