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作成日:2010年7月6日_記事番号:T00023795
中国が台湾統一完了?最南端に五星紅旗翻る
台湾最南端の岬、鵝鑾鼻(屏東県恒春鎮)に、大きな中国国旗「五星紅旗」が翻る──。中国による台湾南部までの統一が完了したことを誇示するかのような光景が出現した。
この光景を撮影した写真をメディアに公開した邱栄崇さんによると、6月23日午前、中国人観光客を乗せた1台のバスが人気観光地の墾丁龍磐公園に到着した。バスから降りてきた観光客たちは、素晴らしい景色を堪能するよりも先にまず、おもむろに真っ赤な五星紅旗を取り出して頭上に掲げ、記念写真を撮影したという。
邱さんは、「中国は国際社会でいつも中華民国の国旗(青天白日満地紅旗)が掲げられないよう圧力をかけているのに、台湾政府は中国訪問団が来台した際、自国の国旗が見えないように配慮する。これでは中国人にナメられても仕方がない」と憤る。「だから、中国人観光客は台湾にやってきて、至る所で痰を吐いたり、たばこの吸い殻を捨てたり、五星紅旗を振り回したりと傍若無人な行為を繰り返すんだ」と怒りが収まらない。
現地住民も「台湾は民主国家だから観光客が五星紅旗を持ってきても構わない。しかし中国は、台湾人観光客が天安門で青天白日満地紅旗を掲げることを許すだろうか」と疑問を投げ掛けた。実際、青天白日満地紅旗をプリントしたシャツを着て上海万博を訪れた台湾人女性デザイナーが逮捕されるという事件も起きている。
鵝鑾鼻で五星紅旗を掲げたツアー団体の受け入れ業者、台湾中国旅行社(チャイナトラベルサービス・タイワン)の林聡敏・副総経理によると、五星紅旗を取り出して振っているのを見つけたガイドがやめるよう忠告したが、ツアー客は「ただの記念撮影で特別な意図はない」と答えたため、そのままにしたという。しかし林副総経理は「もし台湾人がこの光景を目にすれば、気分のいいものではない」と考えて緊急会議を開き、同様の行為があった場合は厳しく制止するよう引率者、ガイドに対し指導することを決めた。
中台交流が拡大する中、訪台する中国人が増えるにつれて、こうした市民レベルでのトラブルも今後ますます増加しそうだ。