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作成日:2010年7月12日_記事番号:T00023914
中華航空が仰天フライト、燃料漏れ機に乗客乗せる
中華航空(チャイナエアライン)が一昨年11月、インドネシア・バリ島から桃園までの国際線で、燃料タンクからの液漏れが見つかった旅客機に乗客を乗せてフライトを行っていたことが分かり、安全性軽視の姿勢も甚だしいとして批判を浴びている。
問題の旅客機はボーイング737-800型で、2008年11月23日午前1時ごろ、桃園国際空港からバリ島のデンバサール国際空港に到着した際、スタッフが右主翼の燃料タンクのふたの部分から燃料が漏れているのを発見した。現地には交換できる代替部品がなかったため、台湾に戻ってオリジナル部品を補充して直すことを決めた。同機はもともと現地で乗客を乗せて桃園に折り返す予定だったが、機長はこのトラブルのためクルーとフライトアテンダントらスタッフのみで台湾に戻ることにし、搭乗予定の乗客100人余りには現地で延泊または他の便を利用してもらうことにした。
ところが幼児1人を含む14人の乗客がこれを拒否し、予定通りに帰ると言い張ったため、機長は結局この便に乗客を乗せてしまった。幸いフライトは無事だったが、機長は燃料漏れの問題が頭にあったため、桃園空港に着陸前、チーフパーサーに対し安全確認を指示した。この際、チーフパーサーが緊急避難の準備指示と勘違いし、乗客たちに眼鏡を外したりハイヒールを脱いだりした上で、衝撃防止のかがんだ姿勢を取るよう求めた。乗客たちは不測の事態が起きたのかと驚き、桃園空港到着後、中華航空に不満を訴えたためトラブルが明るみになったのだった。
交通部民用航空局が民用航空人員専業技職公会の指摘に基づいて調査を行ったところ、バリ島の整備スタッフが通常の安全手順に沿わずに応急措置を施していたことや、中華航空が民用航空局に対し、所定期限内にトラブルの報告を行っていなかったことが分かった。さらに、燃料漏れの原因は、ふたのラバーリングがしっかりと取り付けられておらず、その確認テストも行われていなかったためだったことがことが明らかになり、民用航空局は中華航空に6万~30万台湾元の罰金処分を科すことを決めた。なお、当時の機長は既に退職しており、トラブルの全容はまだ完全には把握できていないという。
燃料漏れトラブルのある旅客機に乗客を乗せたことについて中華航空の劉国芊広報担当は、「安全に問題がないとの確固とした判断があったため、乗客たちの搭乗要求に同意した」と説明している。ただ、このトラブルが明るみになった後、利用者からは「乗客に事前に説明しておくべきだった」「安全こそが航空会社の最重要課題なのにおかしい」などの批判が相次いでいる。
中華航空の737-800型機は07年8月にも那覇で炎上事故を起こしている。いつまでたっても事故やトラブルがなくならず、同社の安全軽視のイメージは改善されないままだ。