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「中国のシンドラー」何鳳山氏、ユダヤ人2千人に命のビザ発給


ニュース 社会 作成日:2010年7月14日_記事番号:T00023974

「中国のシンドラー」何鳳山氏、ユダヤ人2千人に命のビザ発給

 
 『シンドラーのリスト』(1993年、スティーブン・スピルバーグ監督)といえば、第二次世界大戦中、ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人の大虐殺)から1,000人以上ものユダヤ人を救った実話を描いた米映画。実は台湾に「中国のシンドラー」と呼ばれる人物がいたことはあまり知られていない。中華民国政府が中国大陸にあった戦前から、35年から40年の長きにわたり外交官を務めた何鳳山氏(1901~97)がその人で、駐台北イスラエル経済文化弁事処のRaphael Gamzou代表の申し入れで、台湾の学校教材に登場する見通しとなった。

 1937年、駐オーストリア大使館の一等秘書として派遣された何氏は、38年にオーストリアがナチス・ドイツに併合された後、駐ウィーン領事館(オーストリア大使館から改名)の総領事に昇格。当時、何氏は人道的な立場から上司である陳介・駐ドイツ大使の命令に背いてユダヤ人にビザを発給。多くのユダヤ人が上海へ逃れ命を救われたという。

 何氏が発給したビザの数については、正確な記録は残っていないが、38年6月から半年間の間に約2,000件のビザを発給したことが、後に発見されたビザ番号から推測されている。

 何氏は生前、自分がユダヤ人にビザを発給したことを特別視しておらず、回顧録「私の外交生涯40年」でも簡単に触れているにすぎないが、イスラエル政府は2001年、何氏に「諸国民の中の正義の人」の栄誉ある称号を贈り、遺族が受賞のためにエルサレムへ赴いている。

 何氏の事績を台湾の教科書に載せることをイスラエルが求めていることについて、何氏の息子である、中央研究院の何曼徳氏は、「外交部には父の40年にわたる外交における貢献を正確かつ完全に記してほしい」とコメントしている。

 何鳳山氏はその後、コロンビアに派遣されていた期間中、部下に陥れられて汚職疑惑に巻き込まれ、起訴はされなかったものの監察院に弾劾されて停職処分に。遺族は何氏の冤罪(えんざい)を晴らす名誉回復を求めてはいるものの、外交部は名誉回復を可能とする新たな事実はないとの見解を示している。