中国人による台湾観光が開放され丸2年が経過し、百貨店各社の業績に対する中国客の貢献度が拡大している。業界最大手、新光三越百貨では、外国人旅行者が1日3,000台湾元以上購入すれば受けられる消費税還付のうち、約半数を中国人が占めるなど強い購買力を発揮しており、台湾全土の百貨店売上高に対する中国客の貢献度は今年、通年で1.5%(約30億元=約83億円)、さらに自由旅行が解禁される来年は2%(50億元)まで拡大すると見込まれている。15日付経済日報などが報じた。
割安のブランド品に人気
百貨店業者によると、中国ではブランド品などに対して「ぜいたく税」が課せられるため、有名ブランド商品を購入する場合、台湾で買った方が15~20%割安となるという。さらに中国人観光客がほぼ必ず訪れる台北101ビルのショッピングモール「台北101購物中心」や新光三越では、外国人旅行者に対する消費税還付制度の効果もあって、中国人客は台湾でのショッピング、特にブランド品の購入に熱を上げる結果となっている。中でも中国で知名度の高いオメガ、プラダ、ロンジン、カルティエ、ルイ・ヴィトン、グッチなどが人気だ。
また昨年8月より中国の銀行が発行するキャッシュ・デビットカード「銀聯カード」が利用可能となったため、中国客のカード払いも増えており、新光三越では上半期の銀聯カード利用額は2億元を超えた。なお、そのうち約5割が台北信義新天地での利用だ。中国客の高い購買欲に支えられ、新光三越は上半期、外国人客による消費額が前年同期比30%増加。「台北101購物中心」でも、上半期売上高のうち中国客購入分が前年同期比2~3ポイント上昇して約10%に達した。
消費力では依然日本客がトップ
交通部観光局が14日に発表した、2009年に台湾を訪れた観光客を対象とする消費動向調査の結果によると、同年の観光外貨収入は前年比14.82%増の68億1,600万米ドルで過去最高を更新した。同調査は桃園国際空港、高雄国際空港で5,784人を対象に実施された。
台湾を訪れた観光客の1人1日当たり平均消費額は216.30米ドルで、前年比2.29%増加した。このうち、日本人観光客の平均消費額が314.22米ドルで最も多く、中国人観光客の232.11米ドルを大きく上回った。ただ、消費額のうち、ショッピングに限って見ると、平均購入額は中国人が117.50米ドルで日本人の77.21米ドルを上回った。中国客は1日の消費のうち約半分をショッピングに使っている計算となる。
なお、中国人の平均消費額は前年の295米ドルを大きく下回ったが、これについて観光局は、「中国客の開放当初は収入の高い都市部の住民に対象が限られていたが、既に低収入の内陸部にも拡大されており、自然なこと」と説明した。
中国客が日本人客を駆逐?
昨年台湾を訪れた日本人観光客は延べ約100万人で前年比8%減少したが、台湾の観光外貨収入においては約600億元を占め首位となっている。一方、中国客は前年比倍増の延べ97万人となったが、観光外貨収入は約510億元にとどまっており、15日付自由時報は、「消費力の弱い中国客が消費力の高い日本人客を駆逐する」と懸念を示した。
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