2012年に世界パソコン市場首位を目標に掲げる宏碁(エイサー)は、市場調査機関IDCの調査によると、第2四半期の出荷シェアがデルに抜かれ、3位に転落した。同期は企業のPC買い替えが始まり、デスクトップPC需要が予想以上に伸びたものの、これはデルが強く、エイサーは不得手な分野だったためだ。ただ新学期が始まる第3四半期はコンシューマ向け市場のハイシーズンに当たるため、すぐに2位を取り戻せる可能性も指摘されている。16日付工商時報などが報じた。
IDCの調査によると、エイサーは第2四半期のPC出荷台数が前年同期比20.8%増の1,023万8,000台で、世界シェア12.6%だった。一方、09年第3四半期にエイサーに2位の座を譲り渡したデルは、同19.1%増の1,061万6,000台(シェア13.0%)でわずかながらエイサーを上回った。首位はヒューレット・パッカード(HP)で変わらず、同12.2%増の1,475万6,000台(シェア18.1%)だった。
アナリストはエイサーの3位転落について、法人向け商機の回復による恩恵が大きくなかったことに加え、低価格ノートPC(ネットブック)の成長が鈍化した一方、米国市場でアップルのタブレット型PC「iPad」が人気を博したことも要因と指摘した。エイサーは米国市場でのPC出荷台数の伸びがマイナス1~プラス1%程度にとどまっている。
ただ、エイサーがデルにリードを許し、3位に甘んじる期間は長くないとの見方も示されている。クリスマス・年末年始に向け、エイサーが得意とするコンシューマ向けノートPCの需要が高まるためだ。また、エイサーは5月に中国3位PCブランドを抱える方正集団(ファウンダー)と戦略提携の覚書(MOU)を交わしており、今後中国市場のシェアを拡大し、デスクトップPCの販売比率を高めるとの観測もある。
ASUS、IDCでも5位に
このほか、聯想集団(レノボ)は第2四半期PC出荷台数が前年同期比47.3%増の834万4,000台(世界シェア10.2%)、華碩電脳(ASUS)は同83.6%増431万8,000台(シェア5.3%)と、ともに高い伸びをみせた。さらにASUSは世界シェアで東芝(同26.2%増の434万3,000台、シェア5.3%)に肩を並べ5位入りを果たした。ASUSは市場調査機関、ガートナーの調査では今年第1四半期の段階で既に5位だったが、IDCの調査では6位にとどまっていた。
なお、第2四半期の世界PC市場は、全体で同22.4%増の8,150万5,000台となった。
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