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鉄鋼市場低迷、ステンレスは稼動停止も


ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2010年7月20日_記事番号:T00024118

鉄鋼市場低迷、ステンレスは稼動停止も

  
 鉄鋼市場が低迷している。中でもステンレスメーカーでは、大手の燁聯鋼鉄(YUSCO)や唐栄鉄工廠で最大35%の減産、さらに千興不銹鋼(CSSSC)では稼働を停止し、従業員の95%を無給休暇とするなど事態が深刻化している。また、中国鋼鉄(CSC)では熱延製品の9月向け受注が10%減、鉄筋メーカーでも価格の下落から一部で稼動停止が検討されているもようだ。需要低迷は過去1年の鉄鋼景気を支えてきた中国市場が調整期に入ったことが要因だ。20日付経済日報が報じた。
 

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 YUSCOの林義守董事長によると、ステンレス価格への影響が強いニッケルの平均価格が現在1トン当たり1万9,500米ドルと低迷、さらに欧米経済も回復力が今ひとつであるため、林董事長は「第3四半期のステンレス市場は非常に悪い」と語った。また、第4四半期も不調が続くと悲観的な見方だ。

 YUSCOの設備稼働率は既に75~80%まで低下し、唐栄もピーク時に月2万8,000~3万トンあった生産量が、現在は1万7,000トン前後まで落ちている。

 鉄鋼業上場メーカーとしては今年初の全面稼動停止となった千興の葉碩堂董事長は19日、「作れば作るほど赤字が膨らむ状態で、停止する以外に策はない」と説明。同社出荷量は月2,000トン以下に落ち込んでいるが、在庫は4,000トンを上回っているという。今後の稼働再開見通しについて葉董事長は、「停止は2カ月の予定だが、9月に再開するかどうかは状況を見て決める」としている。

 一方、中鋼は先ごろ9月の内需向け価格で今年初めての引き下げを発表した後、19日に第1段階の発注受け付けを締め切ったが、過去8カ月間満杯だった単圧メーカーからの熱延製品受注は10%減少した。

豊興の鉄筋、300元値下げ
 
 鉄筋需要も落ち込んでおり、大手の豊興鋼鉄は19日、今週のオファー価格を1トン当たり300元引き下げ、取引価格を約1万8,000元とすると発表した。また、鉄スクラップ買取価格も同200元引き下げた。

 鉄鋼産業は従来より「川上が肥え、川下がやせる」という構造だったが、7月は川上に当たる中鋼、YUSCO、唐栄、豊興などが黒字確保が困難な状況の下、千興など川下メーカーはさらに厳しい経営を強いられている。 「悲観し過ぎる必要はない」

 ただ一方で証券業界からは「悲観し過ぎる必要はない」との見方も出ている。鉄鋼業界に詳しい大展綜合証券自営部の胡志欣経理は、第3四半期中に石炭および鉄鉱石価格が再度上昇すると予測され、また中国市場のスポット価格の下落にも緩和が見られることから、「実際の需要はそれほど弱くない」と指摘した。

 また富蘭克林華美証券投資信託も、世界経済の回復は今後も続き、中台各地の建設事業も継続して行われていることから、鉄鋼業界の景気がさらに悪化する可能性は低いとの見方を示した。ステンレス市場では今年も中国が大量の輸入を行っており、重要原料のニッケル在庫水準も最近大幅に低下していると楽観要因を挙げた。
 
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