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鴻海、台湾投資の再検討表明


ニュース 電子 作成日:2010年7月22日_記事番号:T00024176

鴻海、台湾投資の再検討表明

 
 鴻海科技集団(フォックスコン)の黄秋蓮・総財務長(CFO)は21日、高雄軟体園区(高雄ソフトウエアパーク)での南部研究開発(R&D)センター設置をはじめとした台湾での一連の投資計画について改めて検討し直すと表明した。中国で起きた従業員連続自殺事件で、「台湾の恥」との批判まで起きた台湾社会の姿勢に郭台銘董事長が深い失望感を感じたことが直接の要因になったと説明した。22日付経済日報などが報じた。
 
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 黄・総財務長はまた、見合わせる具体的な項目は明らかにせず、再検討後の投資計画はまとまり次第公表すると語った。アナリストは、鴻海が台湾投資を取りやめるまでには至らないとの見方だが、仮に鴻海が台湾でのあらゆる投資を中断すれば、Uターン投資を検討する在外台湾企業にとって好ましくない影響を与えるとの指摘も出ている。

 鴻海集団が計画している台湾投資には、高雄軟体園区でのR&Dセンターとクラウドデータセンター設立のほか、「台北の秋葉原」を標榜する台北資訊園区、苗栗県を候補地とする太陽電池工場などがある。このうち、実際に動き出しているのは台北資訊園区のみだ。なお、鴻海は今週19日、10億米ドルを上限とする海外無担保転換社債の発行計画断念を発表したばかりだが、その際は株式市場の低迷を理由に挙げていた。

 台湾投資の再検討表明に対し施顔祥経済部長は、「鴻海の台湾への貢献は非常に大きく、台湾の恥と指弾することこそが台湾の恥だ」と発言し、鴻海を擁護する姿勢を強く打ち出した。
 
奇美電の投資には変更なし

 鴻海傘下の液晶パネル最大手、奇美電子(チーメイ・イノルックス)は、段行建董事長が同日、同社は鴻海とは別法人であるとして、台湾での投資計画は計画通り実施していくとの考えを示した。

 なお、旧群創光電は2008年に苗栗県の竹南鎮大埔に新工場建設または既存工場拡張のための用地を取得。しかし、旧奇美電子との合併で南部科学工業園区(南科)に工場用地を取得できたため、大埔に建設する必要性は薄れた。黄・総財務長は「他の用途に使う可能性もある」と述べた。

賃上げの影響軽減に全力
 
 黄・総財務長はこのほか、傘下の富士康国際(FIH)の深圳工場で、生産ラインの従業員の給与を今月から900人民元から1,200元に引き上げたこと、および考査に合格した従業員とライン長の標準給与を2,000元に引き上げる決定について、「グループの財務への影響は10月から鮮明になる」と説明した。そして、生産ラインの自動化や顧客へのコスト転嫁などを通じて、影響の軽減に全力で取り組むと表明した。
  
【表】