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作成日:2010年7月23日_記事番号:T00024178
少子化で「先生余り」、流浪の代理教員激増

日本以上に少子化の進む台湾で、「先生余り」の現象が深刻化している。教育部の統計によると、毎年の教員免許取得者のうち、正式な教職に就けるのは約1割にすぎず、その他大部分は、「流浪教師」と呼ばれる予備(代理)教員となって各地の学校を渡り歩きつつ、採用試験を受け続けている。1994~2009年の教員免許取得者、約15万6,000人のうち、なんと約4割に当たる約5万8,000人が代理教員として働いているという。
Aさんは代理教員をしながら採用試験に挑戦し、これまで6~7年落ち続けている。昨年も20校以上の試験を受け、交通費、教材費など4万~5万台湾元も使ったというから受験にかかる費用もばかにならない。
Aさんは別の仕事に就こうかと考えたこともあるが、転職すればおそらく今の月給(4万~5万元)は半減すると思われるので、「このままでは万年代理教員で終わるのでは」と不安を抱きつつも教育界から離れられないでいる。
しかし正職員に合格するのは年々難しくなっている。台北県では今年、わずか26人の公立小学校教員の欠員枠をめぐり、5,005人が採用試験を受けた。合格率は0.5%の超難関だ。台北市も似たような状況で、採用率は0.97%と1%を切っている。「もし私がいま教員採用試験を受けたら、たぶん不合格だろう」とは、小学校教師の経験もある張明文教育部中教司長の弁だ。
少子化問題は非常に深刻で、例えば、高雄市では小学1年生の児童数は、現在の約2万人から3年後には1万人へと半減すると予想されている。
教育界からは「教育部は給食やプール建設の費用経費を節約し、教員採用枠を広げて流浪教師の問題を解決すべきだ」との声も出ているが、少子化に歯止めがかからない限り根本的な解決策とはならないのではないだろうか?