米リサーチ会社のニールセンが行った、サプリメントなど健康効果をうたう食品に関する最新調査によると、台湾は世界で4番目に「健康食品」の利用率が高い地域であることが分かった。台湾の健康食品市場は今年、前年比約10%成長して840億台湾元(約2,300億円)規模となる見通しで、今後も3年は同水準の成長が続くと予想される。安定成長が見込める同市場を好感して、ドラッグストア大手も商品認証制度の立ち上げや専門店の設置など商機獲得に動き出している。23日付中国時報などが報じた。
ニールセンの調査では、世界で最も健康食品の利用率が高いのはフィリピンおよびタイ。3位にリトアニア、これに米国と並んで台湾が続いた。なお台湾では、健康食品を利用すると答えた人のうち、4分の1を超える27%が「毎日摂取する」と回答した。
ドラッグストア業者の統計によると、台湾で最も人気を誇るのはビタミン剤。全土に316店舗を展開する大手ドラッグストアチェーン、康是美(コスメッド)では年間100万粒以上が売れる。このほか、関節・骨用や肝機能を向上させるサプリメント、美容ドリンクなどの売れ行きが良い。
主要購買層は25~45歳女性
こうした健康食品を購入する主力消費者層は25~45歳の女性で、購入商品は3分の1をビタミン剤が占める。また今年は美容ドリンクの売り上げが前年比で倍増しているという。
男性の場合は結婚して子どもを持つ30歳以上の年齢層が購入することが多い。高齢者も関節・骨、視力などに関する食品の有力な購買層だ。
健康食品人気について業界関係者は、生活習慣の変化でファストフードなど外食を取る機会が増えたことや、仕事のストレスからくる慢性的な睡眠不足などにより、肥満、過労、高血圧、高コレステロール、高血糖値の「3高」といった現代病に悩む人が多くなったことを理由に挙げた。さらに、IT(情報技術)の発達で予防医学の知識が普及したことも背景として指摘した。
康是美、「信頼感」で差別化
康是美はこうした状況を受けて、今年500万元の費用をかけて、販売するすべての健康食品を対象に安全検査を実施する。スイス系大手検査機関「台湾SGS(台湾検験科技)」と提携し、菌や重金属の含有量、農薬残留量、その他禁止薬物や基準以上の薬物が含まれていないかなどを調べ、合格した商品のみ認証ラベルを貼って陳列する。
高敏航・同社総経理は、「現在台湾の健康食品市場は、ドラッグストア、薬局、直販、テレビおよびネットショッピングなど多くの業者が参入して競争が激化しているが、当社では『信頼感』で差別化を図る」と語った。
康是美の健康食品販売は昨年、業界平均を上回る31%成長を記録したが、今年はさらに40%以上の成長が可能とみている。
一方のドラッグストア大手、屈臣氏(ワトソンズ)も今年、健康をコンセプトとし、健康食品と医薬品を主力とする店舗を新たに5店設置する。同店舗では薬剤師が店長を務め、来店者の健康相談に応じる。
同社は昨年、全土180店舗で改装を行って健康食品の陳列スペースを拡大しており、今年は1店当たりの健康食品の売上高が5%以上増加すると見込んでいる。
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