台塑集団(台湾プラスチックグループ)第6ナフサ分解プラント(六軽、雲林県麦寮郷)の台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)第2製油工場で大規模な火災が発生し、同プラント第5期事業計画への影響が指摘されている問題で、杜紫軍・経済部工業局長は26日、「現段階で失火は第6ナフサの構造的な問題とは考えられないため、第5期への影響はない」と語り、プラント操業の安全性問題と第5期事業計画を分けて考える立場を表明した。27日付聯合報などが報じた。
抗議に集まった住民たちの足下には割れた卵が散乱している。度重なるトラブルにより台プラは企業イメージを大きく損ねる事態となっている(26日=中央社)
第6ナフサでは今月7日に台塑石化のオレフィン第1工場でプロピレン漏出による火災が起きたばかり。環境汚染問題に加えて度重なる事故発生によって地元雲林県では反発が高まっており、蘇治芬・雲林県長は同日、中央政府レベルの防災対策センターの設立、第6ナフサ第5期事業をめぐる雲林県政府との対話メカニズムの確立、環境保護の法制化などが実現しない限り、周辺住民とともに第5期事業計画に反対する考えを表明した。
第6ナフサ周辺住民は26日、約300人が第6ナフサ前で卵やペットボトルを投げつけるなど抗議活動を展開した。8時半ごろには建物内に押し入ろうとして、約100人の警察官に阻止される一幕もあった。環境影響評価の通過を目指す第6ナフサ第5期は、地元の理解を得られるかが計画推進の鍵となりそうだ。
Q3利益、50億元減少
第2製油工場の火災の影響について台塑石化は26日、直接の被害額は5億台湾元(約13億5,000万円)との試算を公表した。これについては損害保険により補償されるものの、第3四半期はオレフィン第2工場が年次保守を迎えることもあって利益が50億元減少する見通しだ。
台湾域内へのガソリン・軽油の供給について林克彦・同社広報担当は「もともと台湾市場への供給割合は低く、問題は起きない」と語った。杜経済部工業局長は、第2製油工場の操業停止が3カ月以上に及んだ場合、ガソリン・軽油の輸入を進める考えを示した。
一方、プロピレンは台塑石化のオレフィン第1工場の火災による稼動停止、オレフィン第2工場の年次保守、今回の第2製油工場の火災によって、今後数カ月にわたり約10万トンの不足が起き、8~9月はスポット価格の上昇が起きるとの観測がある。
6年半でトラブル15回
雲林県消防局によると、第6ナフサでは火災や爆発、石化原料の漏出などのトラブルが過去6年半で15回に上り、それによる死者は3人、けが人は23人に達している。
事故が頻発する背景について、かつて第6ナフサで働き既に離職した元従業員は、過度の人員削減を指摘する。
元従業員によると、火災が起きた第2製油工場は、現場の見回りや保守を行う作業グループの人数が、従来は1班4人(3交代制)だったのがここ数年で3人に減らさた。一方、台湾中油は1班が最低9人で構成されているという。台プラグループの成功は徹底的なコスト管理にあることはよく知られているが、人員体制に全く余裕がないため、細かいところに注意が行き届かなくなっている弊害は大きいという。