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作成日:2010年7月28日_記事番号:T00024268
悪徳人材紹介会社、強盗団に学生を「派遣」

夏休みに入って以降、宜蘭県で連続して3件の強盗事件が発生した。1件目は7月9日、被害者が郵便局で引き出したばかりの現金19万台湾元が、2人組の犯人によって強奪されたもの。19日に発生した2件目も手口は同様で、被害者が郵便局で引き出した現金14万元が複数の犯人によって脅し取られた。3件目は24日、3人組が宜蘭市内の宝飾店に押し入り、店主を襲ったものの犯人は何も取らずに逃走、未遂に終わった。
この3件の強盗事件は同一犯行グループの仕業で、主犯の何金樹容疑者(23)を含む9人が27日、警察に逮捕された。調べによると、何容疑者は人材派遣会社「旺来人力派遣公司」の代表。夏休みのアルバイトを紹介すると称して人材を募集し、応募者を自分の手下として使い、強盗を働いていたのだ。
逮捕された共犯のバイト生8人は、いずれも年齢20歳未満で、1人を除き前科者はなし。強盗事件3件のうち2件に加担した蘇容疑者(19)は、国立宜蘭高級中学校(高校)を卒業したばかり。大学入学のための共通試験、「大学入学指定科目考試(指考)」で高得点を取り、国立大学合格は間違いないと将来を期待される優秀な学生だった。
蘇容疑者の父親は「息子は夏休みに学費を稼ぎ家計を助けようと、友人の紹介でバイトを始めた」と説明している。仕事内容が盗みだと知って驚いたものの、怖くて抜け出せなかったらしく、まじめな息子を道連れにした何容疑者に「許せない」と吐き捨てた。彼が通う高校の教師も「同姓同名の間違いではないか?」と驚いている。
わずか3,000元の「労働報酬」でせっかくの前途を棒に振るような状況に陥った蘇容疑者だが、本当に親孝行でまじめな学生だったとすれば、なんとか救済してほしいところだ。