半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)2位、矽品精密工業(SPIL)の林文伯董事長は28日、世界規模での景気回復の減速を受け、半導体業界はハイシーズンに当たる下半期も成長が続くものの、上半期より小幅な伸びにとどまるとの見方を示した。上半期の回復スピードが速過ぎたため、下半期は慎重ムードが広まっており、第3四半期は受注が満杯だが、第4四半期は見通しが良くないと指摘した。29日付経済日報などが報じた。
的確な景気予測で定評がある林董事長は、欧州の信用不安でパソコンの在庫水準が高まっている上、米国の経済回復も予想を下回り、2大経済体に期待は持てないと発言。ただ中国やインドなど新興国の経済成長は依然力強いと付け加えた。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、インテル、クアルコム、テキサス・インスツルメンツ(TI)など世界大手が第3四半期成長を2~8%と予測する中、SPILは同期5%成長を見込むものの、第4四半期はあまり期待できないとの見方だ。
Q3は銅プロセス強化
景気見通しが不透明となる中、SPILは第3四半期、銅プロセスの強化に打って出る。同社は先日、今年の設備投資計画を47%上方修正し210億台湾元(約570億円)としたが、このうち台湾のワイヤボンダ装置に60億元、蘇州工場に20億元を投じ、中台で600台増設して計2,120台体制とする計画だ。
林董事長によると、現在、銅プロセス用ワイヤボンダ装置は同社全体の23%で、第2四半期売上高に占める割合はわずか5.2%にすぎない。ただ、銅プロセスで量産(50万個以上)している顧客は、売上全体の80%を占める主要顧客(メディアテックを指す)を含む10社に上り、下半期にはさらに5~10社が加わる見通しだ。このため、年末時点で銅プロセスの売上比率は20%に達すると予測している。
SPILが28日発表した第2四半期売上高は、前期比4.5%増の163億8,600万元、純利益は同0.3%減の15億1,000万元だった。上半期売上高は、前年同期比32%増の320億7,500万元、純利益は同57%増の30億2,300万元だった。
【表】