新光三越と北京華聯集団が折半出資で今年4月に開業した大型商業施設「北京新光天地」(北京市東四環路)で経営権争いが表面化し、新光三越の呉昕達総経理(呉東興董事長の長男)ら台湾側幹部4人が経済犯罪に関与したとして、中国当局から一時、出境禁止措置を受けた後、1日午後に台湾に戻った。
呉昕達総経理は、北京華聯集団との合弁事業である北京新光天地でも総経理を務めている。先月26日に台湾での取締役会に出席するため、北京から出境しようとしたところ、北京首都空港で公安当局から出境禁止処分を受けた。
各紙報道によると、合弁相手の華聯集団は、店舗内装費用の金額が大きすぎ、台湾側に汚職行為があったと主張。華聯集団は呉昕達総経理を除く台湾側役員を全員解任し、経営権を強引に引き継いだ。呉昕達総経理らは台湾側の要請を受けた中国当局の国務院台湾事務弁公室による介入により、出境が認められた。
北京新光天地は開業後、週平均12%の販売増を達成するなど好調だったが、華聯集団とは経営方針や重慶出店計画などをめぐり対立が絶えなかった。台湾側では華聯集団が汚職指摘を口実に、北京新光天地の経営権奪取をもくろんでいるとの不信感が募っている。
新光三越は1日、「大陸投資計画は引き続き積極的に展開する」との声明を発表した。しかし、華聯集団とのトラブルが解決できない場合、新光三越が北京事業から撤退を余儀なくされる可能性も出てきた。事態が長期化すれば、台湾企業の中国投資マインドにも冷や水を浴びせることになりそうだ。