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TSMC、下半期見通しに超強気


ニュース 電子 作成日:2010年7月30日_記事番号:T00024354

TSMC、下半期見通しに超強気

 
 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀董事長は29日の業績説明会で、下半期の半導体業界景気の見通しについて「やや減退するが一時的なものであり、悪化の兆候であるはずがない」と語り、今年は昨年よりも良好で長期的にも見通しがよいと強気の見方を示した。前日にパッケージング・テスティング(封止・検査)2位の矽品精密工業(SPIL)が提示した成長鈍化予測や、外資系証券会社による業界景気の後退予想とは真っ向から反する分析だ。30日付経済日報などが報じた。
 
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 張董事長は受注の現状について、「列の長さは3カ月前よりやや短くなったものの、顧客は依然発注の順番待ちをしている」と発言。ハイエンド製造プロセス製品は依然需給が逼迫(ひっぱく)しており、IC設計メーカーとIDM(垂直統合型の半導体メーカー)の在庫と回転日数は例年よりも低く、こうした状況は年末まで続く見通しだと指摘した。この見通しの下、ファウンドリー業界の今年の世界市場全体の成長率予測を40%と、従来から4ポイント上方修正した。

 ただ、張董事長の強気観測とは逆の見方を持つ外資系証券会社も多い。クレディ・スイス証券のアイランディア台湾株研究主管は、TSMCが第4四半期に40ナノメートル製造プロセスの生産ライン稼働を大幅に拡大することが、ファウンドリー業界の受注額値下げ競争を招き、同社は出荷減も加わって第4四半期売上高が前期比12%減少するとの予測だ。また、これに伴い日月光半導体(ASE)、SPILの封止・検査大手2社が大きな打撃を受けるとしている。

 メリルリンチ証券の何浩銘・アジア太平洋半導体首席アナリストも、「第4四半期から需給問題が懸念される。半導体業界の最大のリスクは在庫ではなく末端需要で、第4四半期から来年初頭にかけて景気後退圧力に直面する」と悲観的な見方だ。

ギガファブ、3基体制を推進
 
 TSMCは同日、今年の設備投資額を59億米ドルと、従来計画の48億米ドルから23%の上方修正を行ったことも発表した。同社の単年度の設備投資額としては過去最高で、半導体業界ではサムスン電子の60億米ドルに次ぎ、インテルの52億米ドルを上回る。

 同社は新竹科学工業園区(竹科)のFab12、南部科学工業園区(南科)のFab14、中部科学工業園区(中科)で先日着工したFab15の12インチウエハー工場3基を、月産能力10万枚以上の超大型工場「ギガファブ」に拡大する計画で、設備投資額のうち79%を先進製造プロセスの開発に充てる。59億米ドルのうち58億米ドルまでが半導体関連で、残りの1億米ドルが発光ダイオード(LED)および太陽電池関連となる。

 設備投資拡大が供給過剰を招くとの懸念の指摘に対し、張董事長は「TSMCの40、28ナノプロセスは同水準で世界唯一の有効な生産能力(effective capacity)であり心配はない」と語った。

Q2純利益、過去最高に
 
 同社が発表した第2四半期の連結売上高は前期比13.9%増、前年同期比41.1%増の1,049億6,000万台湾元(約2,850億円)で、同社の当初予測値1,020億元を上回った。粗利益率は49.5%で、同社予測の48~50%の範囲内となった。純利益は402億8,000万元で、外資系証券会社の予測値である430億元には及ばなかったものの、同期の過去最高を記録した。
 
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