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台塑石化OL2が修理延期、川下への原料供給確保


ニュース 石油・化学 作成日:2010年8月2日_記事番号:T00024383

台塑石化OL2が修理延期、川下への原料供給確保

 
 2日付経済日報によると、台塑集団(台湾プラスチックグループ)の台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)は、第6ナフサ分解プラント(六軽、雲林県麦寮郷)内の第2オレフィンプラント(OL2)の点検・修理を、当初予定の8月から10月への延期を決めた。第1オレフィンプラント(OL1)が先月7日の火災発生後、稼働を休止しているためで、台塑石化はOL2の修理延期により石化原料の供給を確保し、川下での減産拡大など影響の深刻化を抑えたい考えだ。
 

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 同業大手、台湾中油の主管によると、これまで台塑石化のOL1、OL2が同時に稼働を停止するとの見通しだったことから、アジアのスポット市場全体に激しい反応が出ており、エチレン、プロピレン、ブタジエン価格が上昇に転じるとともに、主要な汎用樹脂、一部合成繊維原料の値上がりも始まっていた。

 台塑石化のオレフィンプラントが2基同時に停止すれば、年産量にして173万トンのエチレン、80万トンのプロピレン、30万トンのブタジエンの供給がストップし、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス)、南亜塑膠工業(南亜プラスチック)、台湾化学繊維(フォルモサ・ケミカルズ&ファイバー、台化)、長春集団(CCPG)の大連化学工業(DCC)、奇美実業(チーメイ)などで、大幅な減産を迫られる事態が予想されていた。

 さらに、川下業者が大幅な減産を行えば、主要汎用樹脂、合成繊維原料、特殊化学品などの生産量が減り、その影響はプラスチック加工業、化繊紡織加工業にとどまらず、ハイテク産業にまで及ぶと石化業者は指摘する。例えば南亜プラの特殊化学品や台塑のメタクリル酸メチル(MMA)は、電子製品用エッチング液やフラットテレビ向けに使用されている。

 ただ、火災が起きたOL1の修理には2カ月かかり、さらにその後当局の検査を受ける必要があるため、10月には再度、石化原料の供給不足に懸念が高まる見込みだ。これについて業界関係者は、修理すれば多くの時間がかかるため、短期間で稼働を再開するにはまったく新しいプラントを購入するのが最適と指摘している。

製油能力、通常の3分の2に

 なお台塑石化では、OL1に続き7月25日に火災が発生した第2製油工場水素化脱硫プラントも操業がストップしており、同社は「最悪の場合、グループ全体の製油能力が通常の3分の2に低下する恐れがある」と説明した。

 呉敦義行政院長は30日、現地で対応を協議した上で、第2製油工場の操業を全面的に停止し、点検修理を行うよう命じていた。

 証券業界は、今回の火災で台塑石化の営業損失が1カ月で200億台湾元(約540臆円)に上ると試算している。

 また、火災の影響について点検を進めていた第1、第3製油工場に関し同社幹部は、「安全検査の結果、第1、第3工場の設備に損傷はなかった。操業再開には通常3~5日間かかる。1週間以内に操業を再開できるのではないか」と語った。

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