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中科二林の開発停止、AUOに大打撃


ニュース 電子 作成日:2010年8月3日_記事番号:T00024411

中科二林の開発停止、AUOに大打撃

 
 中部科学工業園区(中科)第4期二林園区(彰化県二林鎮)の開発計画に司法のストップがかかり、再開が2~3年後にずれ込む恐れが出ている。入居予定企業16社の投資計画1兆2,000億台湾元(約3兆3,000億円)に影響が及ぶ。うち3分の1を占める液晶パネル大手、友達光電(AUO)は、政府の企業誘致計画に一貫性がないことが原因と強く批判。背景には、同社の中国への前工程ライン投資計画が遅延するとの懸念があるようだ。3日付工商時報などが報じた。
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国科会の周景揚副主任委員(左)と楊文科中科管理局長(右)。中科の開発計画ストップに管理局関係者は「台湾の経済発展史上で最大の痛みだ」と影響の大きさを表現した(2日=中央社)

 行政院国家科学委員会(国科会)と中科管理局は2日、中科二林園区への進出企業募集の見合わせを発表した。同園区は7月30日に、環境影響評価(環境アセスメント)審査に瑕疵(かし)があるとする地元住民による行政訴訟で、台北高等行政法院より開発停止を命じられていた。

 楊文科・中科管理局長は、地元住民との係争により、二林開発計画は2~3年遅れる可能性があるとの見通しを示した。一方、中科第3期七星農場地区(台中県后里郷、通称七星基地)は環境影響評価に無効判決が下されたものの、早急に抗告を行い訴訟にかかる時間を短縮することで、開発の遅れは数カ月以内で済むとの見方だ。

七星8.5世代、来年上半期量産か

 AUOは同日午後、幹部10人以上が中科管理局に赴き、楊管理局長に説明と対応策を求めた。同社は二林園区で第11世代パネル工場2基、太陽電池工場2基の建設を計画している上、七星基地でも2,000億元を投じて8.5世代工場2基を展開する。うち1基は既に大部分が完成し、第3四半期から設備を搬入して年内に量産開始の予定だったが、最悪の場合、量産時期は来年上半期にずれ込むもようだ。

 突然の開発計画ストップに李焜耀AUO董事長は、「台湾には一体いくつの政府が存在するのか」と産業政策をめぐって各所管機関の足並みがそろわないことに対し不快感を示した。
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「台湾の国際競争力に影響」

 李董事長はさらに、「政策がこのような調子では、一企業だけでなく、台湾の国際競争力に影響する」と発言した。AUOはこの4,000億元規模の台湾投資確約を条件に、中国江蘇省昆山市での第7.5世代パネル工場の年内建設計画が認可されるとみられていた。このため、中国への前工程投資の実現が遅延する可能性が浮上している。

 工商時報は、韓国ではサムスン電子やLGエレクトロニクスの次世代パネル工場建設計画を政府が全力で支援し、前工程ラインの中国進出の足を引っ張ることなどあり得ないと指摘。台湾でも、企業が工場建設用地の取得をめぐり地元住民の反対に遭えば、政府が問題解決の手助けをすべきではないかと疑問を投げ掛けた。

 AUO以外で二林園区に投資を計画していた企業のうち、自動車部品メーカーの和大工業(HOTAインダストリアル)と工作機械メーカーの高峰工業は2日、2~3年間の空白期間を避けるため、大埔美工業区(嘉義県)に工場設置先を変更すると表明した。今後も二林園区への投資計画を取りやめる企業が相次ぐ恐れがある。

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