7月にパソコン世界最大手のヒューレット・パッカード(HP)が通年の出荷目標を下方修正するなど、PC業界で下半期見通しを懸念する見方が出る中、同業2位宏碁(エイサー)の王振堂董事長は5日蘋果日報のインタービューに答え、「需要は依然強く、ノートPC通年出荷35%増(4,100万~4,200万台)の既定目標に変更はない」と強気の姿勢を示した。同社は第2四半期のノートPC出荷で1位HPに40万台差と迫った(IDC調べ)が、王董事長は「第3か第4四半期に首位に立てる」と年内に四半期ベースで最大手となることに自信を見せた。6日付蘋果日報などが報じた。
エイサーの第2四半期の連結売上高は、前期比7.34%減と予想を下回った。しかし花旗環球証券(シティグループ・グローバル・マーケッツ)は、エイサーが3~4月、同業他社に先んじて在庫積み増しにブレーキをかけたことが要因だと分析。これにより現在、同社の在庫水準は比較的健全な状態となっており、今期は他社に比べ有利な経営状況にあると指摘した。
またエイサーの主管によると、同社は7月売上高も振るわなかったが、これはインテルが中央処理装置(CPU)の主力数製品でモデルチェンジを行ったものの、規定により同製品を搭載した新機種PCの発売日が9月2日以降と決められており、7月の受注が8~9月にずれ込んだためと説明した。
エイサー内部では、第3四半期の売上高について前期比10~15%成長という「高い」目標を掲げ、連結売上高で1,700億台湾元(約4,600億円)を超え過去最高を記録するとみている。下半期通期でも上半期比10~15%成長を見込み、売上高で6,700億元を目指す。
ファウンダー投資、「必ず回収できる」
なお先日、中国PC業界2位の方正科技(ファウンダー・テクノロジー・グループ)から6,900万米ドルで7年間のブランド使用権を取得したことについて王董事長は、「ファウンダーのブランドと営業チームがエイサー陣営に加入した後、3~6カ月の調整・統合期間を経て2011年下半期には提携効果が表れる」と語り、「投資した資金は必ず7年内に回収できる」と強調した。
ファウンダーブランドの売上高は10月からエイサーの業績に加わる予定で、エイサーは中国事業売上高で、今年予想される15億米ドルから来年は25億米ドルへと倍増を目指す。
なお市場では、ファウンダーブランドが7年後に使用権できなくなることを懸念する声も出ているが、これについて王董事長は「7年後に契約を継続するかどうかを再度話し合う」と語り、「当社は今後、ファウンダーブランド事業の総経理として藍燁総裁を迎えるとともに、藍総裁率いる800人規模の営業チームがその指揮下に加わる予定で、リスクは小さい」と説明した。ファウンダーの中国商用市場での豊富な経験を生かすため、藍総裁にエイサー、ゲートウェイ、イーマシーンズの同市場における販売も委ねる方針だ。
王董事長はこのほか、ファウンダーが保有する蘇州工場にデスクトップPCの生産を委託することも検討していることも明らかにした。
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