楊秋興高雄県長は9日、11月の高雄市長選挙に民進党を離党して無所属で立候補することを正式表明した。これにより民進党陣営は分裂して選挙戦に臨むことが確定した。10日付中国時報などが報じた。
選挙事務所の立ち上げでお祈りをする楊県長(左)。高雄と台南での民進党陣営の混乱に、2012年の次期総統選挙への悪影響も指摘されている(9日=中央社)
楊県長は記者会見で、「中間路線」と「高雄を第2のシンガポールに」の2点を選挙戦でアピールすると表明した。
「中間路線」については、国民党陣営と民進党陣営の対立が高雄経済の減速を招いたとして、今後いかなる政党にも所属せず民生経済の発展に専念すると説明した。民進党が批判する海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)に対しては、「締結しなければ台湾は孤島になってしまう」と支持を表明した。こうした姿勢は、国民党支持層の票を奪うことが狙いと観測されている。
楊県長の出馬表明に対し蔡英文民進党主席は「非常に遺憾だ。党は以前にもこうした状況に陥ったことがある。しかし、打ち倒されたことはない」と語り、市長選での勝利に自信を見せた。楊県長の挑戦を受ける民進党公認候補で現職の陳菊高雄市長は、「台湾社会の正義を信じる」とコメントした。
なお、同党による高雄市長選の最新の世論調査によると、陳菊氏の支持率は53%で、楊秋興氏の22%、国民党公認の黄昭順氏の15%を大きく引き離している。