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液晶パネル価格操作訴訟、米3州に拡大


ニュース 電子 作成日:2010年8月12日_記事番号:T00024616

液晶パネル価格操作訴訟、米3州に拡大

 
 友達光電(AUO)、 奇美電子(チーメイ・イノルックス)の台湾大手を含む日台韓の大手液晶パネルメーカーが米国で価格カルテルを結んだとして反トラスト法違反に問われている事件で、提訴の動きが州レベルで拡大している。先週のニューヨーク州に続き、新たにイリノイ州とオレゴン州が10日、賠償金の支払いを求めて提訴したほか、フロリダ州も提訴を準備していると表明した。事態がどこまで広がるのか、アジアのパネル業界にとって頭の痛い状況となった。12日付工商時報などが報じた。

 イリノイ州のマディガン検察総長は10日、サムスン電子、LGディスプレイ(LGD)、AUO、奇美電、シャープ、東芝、日立、エプソンイメージングデバイスの8社が1998年11月30日から2006年12月11日にかけて、同一の価格設定および生産量抑制による価格引き上げで共謀し、州政府と消費者に損害を与えたとして、損害賠償訴訟をクック郡巡回裁判所に起こした。賠償金額は指定していない。

 オレゴン州でも同日、AUO、奇美電、瀚宇彩晶(ハンスター)、エプソン、日立、LGD、サムスン、シャープ、東芝の9社が、96年から06年にかけて価格操作を行って損害を受けたとして、クローガー検察総長がポートランド地裁に計1億米ドルの損害賠償を起こした。ニューヨーク州と合わせて州レベルの訴訟は3件に拡大、また、フロリダ州のマッコーラム検察総長も10日、カリフォルニア州で同様の提訴を行うと表明した。

累計罰金額、8億ドルに

 日台韓の大手液晶パネルメーカーの価格操作事件は、06年に米司法省が調査に着手したことが発端。奇美電、中華映管(CPT)、ハンスターの台湾3社、シャープ、LGDが司法取引で罪を認め、支払った罰金額は累計で8億3,500万米ドルに達したほか、多くの企業幹部が米国で服役した。一方、AUOは潔白を主張し、徹底抗戦の構えを崩していない。

 米国各州による提訴について行政院公平交易委員会(公平会)の孫立群委員は、米国では連邦レベルで反トラスト行為を規制している一方、23州が独自に反トラスト規定を設けており、各州の判断に基づいて損害賠償訴訟を提起できると解説した。

 孫委員はまた、各メーカーが刑事訴訟での司法取引で罪を認めた供述が、民事訴訟での証拠となる恐れを指摘した。

 訴訟の各州への広がりについてAUOと奇美電は11日、「訴状を見ていないのでコメントできない」と表明した。

サムスン、州レベルでは被告に

 工商時報は今回の事態に関して、AUOとサムスンを注目するメーカーとして挙げた。潔白を主張するAUOについては「かなり賢明な選択といえる」と評価した一方、同業他社を告発することで米司法省からの嫌疑を逃れたとされるサムスンが、州レベルでは訴訟対象になったことを挙げ、「果たして正当な選択だったのか、今後の推移が注目される」と指摘した。
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