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急激な円高、台湾に発注拡大効果


ニュース その他分野 作成日:2010年8月13日_記事番号:T00024645

急激な円高、台湾に発注拡大効果

  
 11日の外国為替市場で円相場が1米ドル=84円72銭と、15年ぶりの高値を付けるなど急激な円高が進行する中、日本メーカーが台湾受託メーカーへの生産委託量を増やしたり、日台が競合する業界で台湾メーカーへの発注切り替えが進むなど、台湾産業界にプラス効果がもたらされている。特に太陽電池および受動部品メーカーへの恩恵が最大で、生産ラインがフル稼働に達し、市場の供給不足が深刻さを増しているもようだ。13日付経済日報が報じた。
 
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太陽電池、「新規受注の余裕ない」
 
 日本からの生産委託量が増加しているのは、太陽電池、半導体メモリー、デジタルカメラなど。経済日報によると、太陽電池業界では先ごろ、シャープと三洋電機が生産委託先を模索するために台湾を訪れ、昱晶能源(ジンテック・エナジー)、新日光能源(ネオソーラーパワー)、台湾茂矽電子(モセル・バイテリック)などに発注を行ったという。

 ただ業界関係者は、日本の大手メーカーが生産パートナーや調達先を求めて最近相次いで来台しているものの、台湾メーカーの生産ラインは既に満杯となっており、新たな発注を受け入れる余裕はないと指摘した。世界でも2番目の太陽電池生産拠点に発展した台湾で生産能力が不足する事態となれば、市場への供給がさらに滞ることになる。

受動部品、さらなる商機拡大も
 
 一方、日本メーカーからの発注切り替えにより恩恵を受けているのは、受動部品や携帯電話部品メーカーなど。日台メーカーが主要サプライヤーの受動部品業界では、間もなく迎える第4四半期向けの価格交渉を前に「商機がさらに広がる可能性がある」と期待する声が上がっている。

 このほか、デジカメも日本ブランドが生産の外部委託を拡大しており、佳能企業(アビリティ・エンタープライズ)、華晶科技(アルテック)、亜洲光学(アジア・オプティカル)、筐体(きょうたい)の応華精密科技(AVY)などが恩恵を受けそうだ。

和泰汽車、「値上げ避けられない」
 
 一方で、最近大規模な生産設備購入を行っているファウンドリー最大手の台湾積体電路製造(TSMC)や液晶パネル最大手の奇美電子(チーメイ・イノルックス)は、数十億~100億台湾元(1元=約2.7円)に上る重要設備を日本メーカーから調達しており、為替差損を自社でカバーしなければならない事態が生じている。

 日系ブランドを扱う自動車メーカーや輸入業者もコストの増大に直面している。トヨタの台湾総代理、和泰汽車は12日、現在為替差損はトヨタが負担しているが、最近の急激な円高を受け、既に部品や完成車両の値上げ要求を受けたことを明らかにし、販売価格引き上げは避けられないとの見方を示した。裕隆日産汽車もコスト変動に応じた価格調整を明言している。

 ただ無印良品、アフタヌーンティー・リビング、ハンズ台隆手創館、資生堂、「SK-Ⅱ」のマックスファクターなど輸入生活雑貨や化粧品業者は、間もなく百貨店が周年慶(創業祭)セールを迎えることもあり、購買意欲の低下を懸念して値上げはしない方針だ。
 
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