台湾を訪れる外国人や中国人の消費を促進するため、営業税5%の還付(払い戻し)制度の条件緩和を財政部が検討している。現行では同一店舗で3,000台湾元(約8,100円)以上買い物し、30日以内に空港や港湾の税関で手続きを行う必要があるが、最低消費額を1,000元に引き下げ(最高2万元まで)、買い物をした店舗で払い戻しを受けられるようにする案で、早ければ年末にも実施される。16日付蘋果日報などが報じた。
李慶華・財政部主任秘書は、財政部と全土各地の5国税局が16日に、営業税還付の関連法改正と実務フローについて検討すると明かした。買い物をした商店での払い戻し制度の対象を全店舗とするか、当面は百貨店など一部の大型店舗に限定するかも協議するという。
財政部関係者によると、実績やトラブル発生状況などを見ながら、来年以降、対象店舗や金額を段階的に緩和する方針だ。現在の対象店舗は全土で483店(うち台北市248店)で、大葉高島屋、太平洋そごう百貨、新光三越百貨、台北101ビル内のショッピングモール、台北101購物中心など中国人観光客が好んでショッピングに訪れる百貨店も含まれる。このため、中国人観光客の自由旅行開放をにらんでの措置との見方もある。
営業税還付制度の条件緩和について新光三越は、店舗のある台北市信義計画区や中山区は外国人観光客が非常に多く、消費者と販売店双方にメリットが大きいと指摘。台北101も、特に中国人観光客の消費拡大が期待できると歓迎の姿勢だ。
利用者少ない現状を改善
現行規定では、台湾を訪れた外国人による営業税還付の手続きは、買い物した日から30日以内に商品の現物を持参して出境する必要がある。このため、空港や港湾の税関カウンターでの行列に時間がかかり、搭乗便に間に合わなくなる心配から申請をあきらめる人も多い。
交通部観光局の統計によると、2010年上半期に台湾を訪れた外国人は前年同期比29.39%増の延べ273万2,339人で、観光による消費額は年初来で42億3,000万米ドル(1,353億6,000万元相当)に達したとみられる。一方で、外国人による営業税還付の申請件数は今年1~7月で18万1,000件、消費額54億5,000万元、還付額2億4,500万元にすぎない。
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