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台プラ第6ナフサ、住民数千人が包囲


ニュース 石油・化学 作成日:2010年8月17日_記事番号:T00024703

台プラ第6ナフサ、住民数千人が包囲


 台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサ分解プラント(通称六軽、雲林県麦寮郷)で17日、前日行われた連続火災の補償交渉が不調に終わったことを不満とする住民数千人がプラントを包囲し、外部との連絡を遮断する抗議行動に出た。現場では警官隊との小競り合いが起き、午前10時までに住民6人が逮捕された。17日付経済日報によると、プラント封鎖による台プラの被害額は1日当たり約10億台湾元(約26億7,000万円)に上り、長期化した場合、川下各社にも大きな影響が及ぶとみられる。
 
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住民たちは廟(びょう)のみこしを担いで警官隊の列を突破しようと試み、押し合いの混乱になった(17日=中央社)

 17日は午前6時すぎから、第6ナフサから外部に通じる雲林県道154号線、プラント北門出入口、特一号道路の3カ所に大勢の地元住民が集まりプラントを封鎖。石化製品の外部への搬出や、従業員の出勤を阻止した。この結果、輸送用のタンクローリーが中に入れず、プラント周辺で列を作る事態となった。

 第6ナフサでは、台橡(TSRC)や奇美実業に供給するブタジエン、李長栄化学工業(栄化)へのエチレン、達新工業へのポリ塩化ビニル(PVC)など、川下メーカーに対しタンクローリーで輸送している。台プラのある幹部は、封鎖の影響は台プラのみならず、石化製品の供給を受ける川下メーカーにも及び、川下各社が減産や生産停止を余儀なくされた場合、損失額は台プラを上回る恐れがあると指摘した。

 なお、第6ナフサで生産される石化製品は、7割が輸出向け、3割が台湾域内向けで、輸出はプラント内の麦寮港からタンカーで行われるため道路封鎖によっても影響は出ない。

20年での稼働停止・移転を要求

 住民の抗議は、7月に第6ナフサ内の台塑石化(フォルモサ・ペトロケミカル)所属の第1オレフィンプラント(OL1、7日)と第2製油所(25日)で相次いだ火災で、農漁業への被害補償に関する前日の調停会での交渉が物別れに終わったことを受けてのものだ。

 台プラ側は交渉で補償額の上限を4億5,000万元とする立場を堅持。住民側が求める17億5,000万元との隔たりは大きく、溝が埋まらなかった。ただ、その後行われた蘇治芬雲林県長との協議で、台プラ側は補償額を5億元まで引き上げることに同意した。

 なお、蘇県長は王瑞華・台プラ副総裁に対し、第6ナフサの操業20年での稼働停止、または他の場所への移転を求めたが、王副総裁は反応を示さなかった。一方、蘇県長による地元農漁業振興のための100億元規模の基金創設の提案については、台プラが4年間で30億元を拠出し、残りの70億元は中央政府に負担を求める案で合意した。

【表】