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今年の成長率8.24%、21年ぶり最高に


ニュース その他分野 作成日:2010年8月20日_記事番号:T00024791

今年の成長率8.24%、21年ぶり最高に

 
 行政院主計処は19日、今年の域内総生産額(GDP)の成長率予測値を8.24%とし、5月時点の6.14%から2.10ポイントの上方修正を行った。上方修正は異例の通算4度目。達成されれば1989年(10.28%)以来、21年ぶりの高い成長率となる。来年は海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)発効を受け、4.64%の堅調な成長を見込む。20日経済日報などが報じた。
 
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 主計処は大幅な上方修正を行った理由として、▽第2四半期成長率が12.53%に達し、予測値を約5ポイント上回ったこと▽海外大手半導体メーカーの経営戦略変更に伴う受注・設備投資効果▽新興国の経済成長に伴う輸出拡大▽個人消費と設備投資の好調──を挙げた。

 蔡鴻坤・主計処第三局長はこのうち、半導体業界の受注増について、インテルがリスク軽減を目的に自社工場の閉鎖を進めたこと、ルネサスエレクトロニクスが4,000人の人員削減を進めることを挙げ、「これらの『失われた生産能力』が台湾企業への発注に形を変える」と説明した。そして、台湾積体電路製造(TSMC)が今年の設備投資額を当初の30億米ドルから59億米ドルとほぼ2倍に拡大したことをはじめ、川下のパッケージング(封止)を含めて業界全体で大規模な投資が行われると指摘した。

低価格電子製品の輸出が増大

 蔡局長はまた、新興国の成長が台湾の低価格電子製品の輸出増大に貢献していることも挙げた。世界全体のGDPに占める東南アジアやロシア、南米など新興国の割合は、2000年の20%から昨年は30.9%まで拡大しており、台湾経済への影響力も強まっている。蔡局長によると、第2四半期の高成長のみでは、今年の成長率の上方修正は7.41%でとどまるが、残りの約0.8ポイントは「半導体」と「新興国」の要素が大きい。

 個人消費は、劉憶如・行政院経済建設委員会(経建会)主任委員によると、第2四半期の高成長率に対し、内需による貢献が3分の2に達するほどの好調さだったという。そして、今後さらに力強さを増すとの見方だ。今年の個人消費の成長率予測値は過去5年で最高の2.78%。また、設備投資額の成長率は過去6年で最高の23.4%で、金融危機前の2兆台湾元(約5億4,000万円)水準を回復するとの予測だ。今年の消費者物価上昇率は1.23%、来年は1.43%が見込まれている。

 今年下半期の四半期別成長率は、第3四半期が6.90%、第4四半期が1.37%の予測だ。
 
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1人当たりGNP、1.85万ドルに

 今年の高成長率を支える輸出は、通年成長率が88年以来で最高の33.2%となる予測だ。経済成長を受けて、今年の1人当たり住民総生産(GNP)は、前年比9.4%増で過去最高の1万8,565米ドルに達し、来年はさらに1万9,252米ドルまで伸びるとみられている。

来年は4.64%予測

 主計処は来年の成長率は4.64%を予測している。ECFA発効は、成長率を0.4ポイント引き上げる効果をもたらすとの試算だ。

 蔡局長は一方、今年下半期に考えられる懸念材料として、世界各国の通貨政策が緩和から緊縮に転じることや、景気刺激政策の終了、新興国が資産バブル予防で緊縮措置を取ることなどを挙げ、いずれも経済成長を減速させる要因となると指摘した。

【表】