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AUO幹部を米が出国禁止に、カルテル事件で


ニュース 電子 作成日:2010年8月23日_記事番号:T00024821

AUO幹部を米が出国禁止に、カルテル事件で

 
 米国で価格カルテルを結んだとして日台韓の大手液晶パネルメーカーが反トラスト法違反に問われている事件で、被告となっている友達光電(AUO)の陳炫彬副董事長、陳来助総経理、熊暉・佳世達科技(Qisda)総経理(元AUO執行副総経理)の3人が、公判前のヒアリングに出席するために訪米したものの、その後裁判所から出国禁止措置を受けたことが明らかとなった。米国側の予想外の厳しい対応に業界では大きな驚きが広がっているが、李焜耀AUO董事長は無罪主張の立場は揺るがないと強調した上で、「必ず邪悪な勢力を打ち倒す」との決意を語った。23日付工商時報などが報じた。
 
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 同事件ではAUOのほか、旧・奇美電子(CMO)、中華映管(CPT)、瀚宇彩晶(ハンスター)の台湾4大パネルメーカーが起訴され、このうち中華映管の幹部3人は既に司法取引で罪を認めて服役し、刑期を終えて台湾に戻っているほか、奇美電の何昭陽・元総経理も服役中だ。4社のうちAUOのみが潔白を主張し、長期戦覚悟で争う姿勢を示している。

 観測によると米国側は、米台間に国交がなく犯罪人引き渡し条約も結ばれていないため、有罪判決が確定した場合に被告が出頭を拒み、服役を回避する恐れがあるとしてこうした措置を取ったとされる。このため、現時点で3人がいつ台湾に戻れるか見通しは立っていないが、AUOは、「3人は当社の米国子会社のオフィスに詰め、電話、テレビ会議方式で業務に対応するため、運営に支障はでない」としている。

 なおAUO幹部への出国禁止措置に対し林聖忠・経済部次長は、「同措置を解除するには1人数百万~1,000万米ドルの保釈金が必要とみられる。現在米国側に保釈金の軽減を働き掛けている」と明らかにした。しかし、呉敦義行政院長は、「われわれは米国の法律を尊重しなければならず、介入・干渉することはできない」と発言している。

 こうした姿勢にあるハイテク企業の幹部は、「政府は液晶パネルを『スター産業』と持ち上げながら、業界が苦境に陥っても何の支援もしない。台湾企業であることは本当に悲しい」と、やり場のない不満を語った。

「帝国主義的」、米対応を批判

 工商時報は、徹底抗戦の姿勢を崩さないAUOに米当局が強硬措置を取ったことを「帝国主義的な振る舞いで、企業の運営と信用に大きなダメージを与えた」と批判した。

 さらに、かつて日台韓独のDRAMメーカーが反トラスト法違反に問われた際は、台湾メーカーでは一人も服役者が出なかったことを挙げ、これは米国もDRAM産業を抱えていることと関係していたと指摘。一方、今回の事件では、米国が大手液晶パネルメーカーを持たないため、強い姿勢に出ていると分析した。また、先に罪を認めるほど刑が軽くなることなども合わせ、米国が公正明大な対応をうたう今回の事件は、企業を恐怖させることはあっても敬服させることは難しいと批判した。

【表】