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営利事業所得税、10%台に引き下げへ


ニュース その他分野 作成日:2007年9月5日_記事番号:T00002486

営利事業所得税、10%台に引き下げへ

 
 何美ゲツ行政院経済建設会主任委員(ゲツは王へんに月)は4日、第3次税制改革の一環として、法人税に当たる営利事業所得税の税率を現行の25%から香港の16.5%以下まで引き下げる考えを示した。5日付工商時報によると、財政部はこれまでに新税率として20%と15%の2案を提出しており、実現する場合は15%が期待できるという。
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 何主任委員は引き下げの目的について、「企業の競争力強化のため」と説明。台湾のハイテク企業は多種多様な租税優遇措置により、多くが実質有効税率10%以下となっているが、従来型産業には多大な恩恵となる。

 今年上半期、上場公開企業計1,207社の税引前利益の合計額は7,932億元(約2兆7,700億円)で、営利事業所得税が15%まで下がった場合、企業は約800億元の税負担減となる。

 何主任委員はまた、2009年の産業高度化促進条例の期限終了を経た後、「最低税負担制度もあらゆる租税優遇とともに取りやめとなり、営利事業所得税だけが残る」と語り、企業税制の大幅な簡素化が実現すると指摘した。

財政赤字に懸念

 政府は立法委員選挙と総統選挙を視野に、このところ相続税や土地増値税の引き下げなど、租税軽減措置を相次いで打ち出しており、工商時報によると、これらに加えて営利事業所得税の香港水準並みへの引き下げが実現した場合、政府は1,200億元以上の税収減となる。

 工商時報は民進党政権の経済政策に批判的な立場で、「財政悪化の責任は誰が負うのか」と論評し、「総統選挙の前の、有権者のご機嫌取りはやめよ」(孫克難台北商業技術学院財政税務系教授)など批判的な学者の意見を掲載しているが、法人税の引き下げによって企業の投資活動が活発となり、域内総生産(GDP)の成長に貢献したのは、レーガン大統領によって1980年代の米国で進められた経済政策「レーガノミクス」の実例がある。

 ただし、レーガノミクスでは後に体質化した財政赤字が経済の足を引っぱったのも事実で、台湾政府が類似の政策を取る場合は、単なる放漫財政にならないよう慎重に収支の均衡ポイントを探る手綱さばきが求められる。