ノートパソコン受託生産大手、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)が、韓国液晶パネル大手、LGディスプレイ(LGD)と、中国・江蘇省昆山市で合弁メーカー「楽宝顕示科技」の立ち上げを決めた。ノートPC用パネルでの供給関係を強化し、鴻海科技集団(フォックスコン)に対抗することが狙いだ。25日付経済日報などが報じた。
合弁メーカー設立を明らかにした陳瑞聡コンパル総経理は、「楽宝顕示科技ではノートPC関連部品の生産、組み立て、販売を行う」と説明。さらに「鴻海がノートPCの出荷台数を拡大しているが、鴻海に(ノートPC受託生産が)できて、われわれに(部品製造を)できないことがあろうか」と述べ、提携の狙いが鴻海対策であることを明確に示した。
陳総経理はまた、提携は一部で詳細が決まっていないため、詳しい内容は今後正式に発表するとした。同社は9月上旬に業績説明会の開催を予定しており、その場で発表される可能性がある。なお、証券業界からは、LGDとの提携はタブレットPC用パネルの供給と関連がある可能性も指摘されている。
楽宝顕示科技の資本金は1,500万米ドルで、コンパルは49%、735万米ドルを出資する。このためLGD側が51%出資で主導権を握る見通しだ。
液晶テレビで提携観測も
今年5,000万台、来年6,000万台のノートPC出荷を狙うコンパルにとって、LGDとの提携は同社からのパネル供給を確保できるメリットがある。
LGD側にもまた、サムスン電子、友達光電(AUO)との3社で分け合ってきたノートPC用パネル市場で、鴻海傘下の奇美電子(チーメイ・イノルックス)が追撃を狙う中、コンパルを安定顧客として出荷を拡大できる。
なお、陳総経理がLGDとの提携について「今回はノートPC」と発言したことから、「『次回』は液晶テレビ分野での提携が行われるのではないか」との観測も出ている。
コンパルは現在、日系メーカー3社より液晶テレビの受託生産を請け負っている。陳総経理は先日、米メーカーからの受注も狙う方針を明らかにしており、LGDとはまずノートPCパネルの供給で提携し、その後液晶テレビパネルに範囲を拡大するとの見方だ。
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