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裏社会の「台湾の奇跡」、詐欺テクニック輸出国に


ニュース 社会 作成日:2010年8月26日_記事番号:T00024882

裏社会の「台湾の奇跡」、詐欺テクニック輸出国に

 
 1980年代以降のハイテク産業を中心とした台湾のめざましい経済成長は、「台湾の奇跡」とも呼ばれるが、実はもうひとつの「台湾の奇跡」と呼ばれる隠れた分野がある。それは詐欺テクニックで、「高い技術と豊富な経験」が評価され、近年では日韓中・東南アジアなど隣近諸国、果ては欧州にまでその詐欺技術が「輸出」されるほどになった。同業者の間では、まさに「世界のリーダー」的存在になっている。

 最近、世界中で発生しているIT機器を利用した詐欺には、必ずと言っていいほど台湾で発明された3大テクニックが使われているという。

 1つ目は、インターネットを通じ、ターゲットに詐欺電話を掛ける通信関連の技術。2つ目は、だまされた被害者が振り込んだお金を迅速に引き出し、しかも現金を手にしたメンバーに持ち逃げされないようする技術。

 そして3つ目は、ターゲットに詐欺電話を掛けるメンバーを養成・管理する技術。電話係は検察官や国税局員などをかたって相手をうまく騙す話術が不可欠で、さまざまな状況に臨機応変に対応しなければならない。

 詐欺を成功させるため、これら3つのテクニックは一つとして欠かせない。そのため、アジア各国では犯罪グループを「開業」する際に台湾人を「技術チーム」として招へいすることも多いという。

 台湾における詐欺テクニックの高度化は、86年以降に非合法の宝くじ「大家楽」を利用した詐欺が流行したのが始まりだ。高額の賞金に当せんしたとだまし、賞金受け取りに必要とだとして手続費用や税金を振り込ませる手法が横行。95年ごろをピークに、被害総額は1億台湾元以上に達した。

 90年代後期は詐欺にもIT時代が到来。詐欺グループが銀行や量販店から入手した顧客の個人データを基に、携帯電話へ当せんメッセージを乱発する手法も登場。また妙齢の女性を利用した援助交際詐欺や、にせの検察官が被害者宅を訪問する集金詐欺、オンラインショッピング詐欺など、貪欲さ、恐怖心、性欲といった人間の弱点を巧みに利用するその手法は絶えず進化し続けている。

 折しも25日、中台をまたに掛けた大規模ネット詐欺グループが摘発され、451人が逮捕された。台湾人が組織したこのグループは、メンバーのうち台湾人が186人、中国人264人、香港人1人。ネット詐欺事件としては過去最多の逮捕者を出した。